2022.12.06

販促・マーケティング

販促計画の立て方とポイント

販促計画の立て方とポイント

流通小売業の方や、流通小売業を得意先としているメーカーの営業担当、販促・マーケティング担当の方は、月度の販促計画作成にあたり、内容が毎年同様になってしまう、マンネリ化してしまう等の悩みをお持ちではないでしょうか?
本記事では月度の販促計画を作成するときにおさえるべきポイント(コツ)を纏めました。

2023年4月度を事例としてご紹介しています。是非ご参考ください。

【1】月度の販促計画を作成するときにおさえる3つのポイント

そもそも販促計画とは、売上目標達成のために「いつ・どの商品を・どのようにして売るか」を時系列で整理した計画のことを言い、販売効率を最大化させる売り場を具体的に実現するためのアクションプランとも言えます。
月度の販促計画は、提案月での売上の波及が大きい事象、もしくは歳事・記念日や生活行動をベースに、新しい売上を作ることができるその年ならではの要素を加味して計画することになります。
そのためには以下3点の要素を抑える必要があります。
(1)外部環境与件(時事的な新しいトピックスなど)
(2)生活者の行動変化(歳事の実施行動や曜日周りによる変化)
(3)親和性があるトレンド事象

これらを踏まえることにより、「今年のマーケットチャンスはどこにあるか?」を検討することができます。

実際に月度提案の背景となる情報を整理してみる

では実際に、2023年4月度の販促計画を検討するという前提で、計画の背景となる情報整理を行いたいと思います。4月度において最も大きな商戦となるのはゴールデンウィークのため、ここではゴールデンウィークに影響を与えそうな4月の事象を整理していきたいと思います。

(1)外部環境与件

①「こども家庭庁」の発足(2023年4月1日)
2023年4月に「こども家庭庁」が内閣府の外局として発足します。子どもや子育て当事者の視点に立った政策を進め、子どもを守る社会を目指し、子育てしやすい環境をつくる態勢を整える狙いがあります。この「こども家庭庁」の発足で、子どもの社会参画(子どもフリーマーケットや子ども向け金融リテラシー教育など)を促すインフラが整備され、子どもが小さい頃から社会を学べる・体験できる場が増えると推測されます。ゴールデンウィークにおいても、そのような発想の「子どもが主体的に参加できるイベント」に注目が集まりそうです。

②交通系インフラ値上げ(鉄道・新幹線など)(2023年3月~)
2023年3月~4月頃にJR・私鉄各社の一部区間において普通運賃や通勤用定期運賃が値上げすると発表されています。また、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の4社は、2022年12月現在、指定席特急券の料金設定が閑散期・通常期・繁忙期の3段階ですが、2023年4月1日以降、そこに最繁忙期の枠が加わり、通常期から200円高い繁忙期よりも、さらに200円高くなることを発表しています。ゴールデンウィークは最繁忙期に該当しますので、この時期に利用される方にとっては実質値上げとなるでしょう。そのため、ゴールデンウィークは鉄道、新幹線などの広域な移動を控え、遠出せずに近場で行動する人も出てきそうです。

(2)生活者の行動変化

①実施行動予測
ゴールデンウィーク期間に実施したことを経年(2017年:コロナ前・同曜日まわり、2020・2021年:コロナウイルス感染者による行動制限あり)で見ると、コロナウイルス感染症による行動制限のなかった今年の2022年でも家で過ごす人が6割近くもおり、コロナ前よりかなり多くなっています。2023年も行動制限はないと予測されますが、物価高・交通費値上げなどの外部環境はあり、家で過ごす需要というのは引き続き高いのではないかと推測されます。「家でホームパーティーをしたり、ごちそうを食べた」の割合にも注目すると、コロナ禍の2020年・2021年よりも2022年の方が高くなっています。ゴールデンウィーク中のホームパーティーのニーズも堅調と言えるでしょう。

②曜日まわりによる休暇取得予測
2023年のゴールデンウィークは4月29日(土・昭和の日)~5月7日(日)で、後半は休暇を取得しなくとも5連休となります。2022年のゴールデンウィークは3連休が2回ある飛び石連休でした。2023年は2022年よりも5日以上の連続休暇を取得しやすい曜日まわりです。

そのため、有給休暇を取得することなく長期連休となる2023年のゴールデンウィークには、普段倹約している人でも奮発するマインドが出てきそうです。4泊5日などの長期旅行に行く人が一定数いると推測されます。

(3)ゴールデンウィークと親和性のあるトレンド事象を捉える

ここでは注目したい3つのトレンドを挙げていきます。

①ファミリー層を中心にネイチャー体験ニーズが高まる
クレオの調査(図表3)によると、子供に体験させたいこととして、「体をしっかり動かす体験をさせる」「自然の中で遊ばせる」が上位に挙がっています。そのため、2023年は自然を体感できる旅行やレジャーに注目が集まると推測され、ゴールデンウィーク期間のレジャー体験においても子どもと共に自然回帰できる体験はニーズが高まるでしょう。

②アウトドアスイーツや燻製など、普段できない開放的なソトでの楽しみに注目
アウトドアは依然として人気ですが、SNSでは、バームクーヘンを焼いたり、バナナに板チョコを挟んで焼いたスイーツ「チョコバナナボート」を楽しむ様子の投稿が見られます。また、ボール型の専用容器に材料を入れて転がすとアイスクリームができるクッキングトイや、ケーキが焼けるオーブンスモーカーなどアウトドア向けのスイーツ専用調理器具も登場しています。
また、近所を気にして家の中では焼けない鰯の干物や大きな魚をBBQで焼く、燻製を作るといった行動も見られています。

③レトロが若者に人気
昭和レトロ、平成レトロ、Y2Kファッションなど、ひと昔前のモノが若者に人気です。ゴールデンウィークの初日は「昭和の日」となります。「昭和の日」はそうしたノスタルジックな体験やモノ提案のきっかけになりそうです。

【3】2023年4月度「ゴールデンウィーク」のマーケットチャンスを予測

以上の事象を整理すると、以下のように俯瞰できます。

2023年ゴールデンウィークはソト消費とイエまわり消費の二極化が一層鮮明になるのではないでしょうか。

<ソト消費のポイント>
2023年のゴールデンウィークの曜日まわりは、カレンダー通りでも長期休暇を取得しやすく、4泊5日などの長期的な旅行・レジャーを存分に楽しむことができます。普段の生活で節約している人も、このような機会には奮発して楽しみそうです。
また、このまま円安が続く場合には、海外旅行より近場・遠出問わず、国内旅行のニーズが高まるのではないでしょうか。アウトドアレジャーが高まるゴールデンウィークに、親子で体を動かしながら自然に触れられる体験、そして、自然の中で楽しむ新しい食体験などトレンドを取り入れた提案にチャンスがありそうです。

<イエまわり消費のポイント>
一方で、3月頃から交通系のインフラが次々に値上げされ、さらにゴールデンウィークのような最需要期の値上げ幅は高くなります。物価高の継続も相まって、支出をなるべくおさえるために、移動を控えて家で過ごす人や、ワンマイルで行けるような近場での買い物やレジャーを楽しむ人もいるでしょう。2023年のゴールデンウィークもイエまわり消費はひとつのマーケットチャンスと言えます。
昭和の日がゴールデンウィークの始まりになりますが、昭和の日に合わせて、昭和レトロや平成レトロのようなノスタルジックな体験・モノなどを、家で楽しむ「おうちレトロ」の提案や、近場のショッピングセンターで気軽にレトロな体験できるイベント企画などが考えられそうです。また、ゴールデンウィーク中に、自宅や近場の商業施設で、子どもと一緒に社会について学べる機会提案にもチャンスがありそうです。

【4】終わりに

月度販促計画作成において、外部環境の変化、生活者の行動変化、親和性が高いトレンドをおさえていくことで、提案背景となるその年らしさの要素を反映することが出来ます。ただ、これらの情報収集には時間を要します。また、あらゆる媒体を確認する必要があり、俯瞰で全体を捉えるには難しさがあります。

株式会社クレオでは、そのような課題解決を目指し、2024年を考えるための年間・月度ごとに外部環境変化や生活行動変化、トレンドを1冊にまとめた書籍『生活者マインド大全2024』を発行致しました。購入特典として、弊社オリジナルの調査データ約100種をExcel・PDFでのダウンロードが可能で、提案書作成の効率化も図ることができます。

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本記事内容に関するお問い合わせ
株式会社クレオ 生活行動研究課(11calendar@kreo.jp

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株式会社クレオ マーケティング開発課(marketing-ae@kreo.jp

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