2022.04.27

販促・マーケティング

流通小売業の【月度計画の考え方】と【2022年9月の戦い方予測】

流通小売業の【月度計画の考え方】と【2022年9月の戦い方予測】

新年度を迎え、流通小売業の月度販促の取り組みに、新たに関わることになった方もいらっしゃると思います。また、既に携わっている方は、2022年秋の取り組みを検討し始めている方も多いのではないでしょうか? 2022年の秋は、昨年と同様にコロナの影響があることを前提としながらも、生活者の暮らしに大きく影響するであろう新たな事象(ウクライナ情勢等)の動向も注視し、考えていく必要があります。

(株)クレオでは、流通小売業様での展開を中心とした<月度の取り組み(販促テーマ・MDの計画立案等)>のサポートを50年以上に渡り行っています。
本記事では、 流通小売業において【月度計画を立てる上での考え方(基本のキ)】をおさらいし、2022年9月を例にとって、 【2022年9月の戦い方予測(ポイント)】をご紹介します。
特に、食品小売業様・食品メーカー様に活用いただける内容になりますので、是非ご参考ください。

月度計画を立てる上での考え方(基本のキ)

月の売上目標を達成する計画を立てるためには、様々な視点で情報を収集・分析し、方針を定める必要があります。
その基本的な情報が、以下の①~④です。これらを見ていくことが、月のマーケットチャンス(売上拡大に向けた取り組みポイント)の予測に役立ちます。

①カレンダー与件
カレンダーまわりの事象(行事・歳事・記念日、今年ならではのイベントトピックス、連休の曜日まわり、
休日日数の増減)や、生活者の月の暮らし(行動/マインド)を把握します。

②気候・気象与件
対象月の基本的な気候の特徴や、昨年の状況を中心に、近年の気温・異常気象の動向等をおさえます。
そして、気候・気象動向と連動する消費にまつわる事象を把握し、生活者の行動を予測します。

③社会与件
生活者に影響を与えそうな社会的事象を把握し、それに紐づく消費行動を予測します。

④消費動向
対象月の、昨年の家計消費支出の動向(内食・外食動向、部門ごとの好調商材等)を把握します。この時、昨年の「①カレンダー与件」「②気候・気象与件」「③社会与件」との関連性を推測し把握することが、今年の計画立案に活用するためのポイントです。また、同じ曜日まわりだった年の実績も見ることで、より精度の高い分析が可能となります。

では、①~④は具体的にどういったことか、2022年9月を例に見ていきましょう。

2022年9月の月度計画立案のポイント

①カレンダー与件

【9月ならではの生活行動/マインド】
●「秋の味覚」が出回り始めて売場で目にする機会も増え、「秋の味覚」を楽しみたいマインドが高まる
●「秋バテ」など、この時期特有の体調不良への対策を行う
●残暑はありつつも徐々に暑さは和らいでくるため、「秋レジャー」を楽しむ

【2022年9月ならではの生活行動/マインド】
●3連休が2回続く曜日まわりである
●連休中に「敬老の日」や「秋分の日」「秋のお彼岸」といった歳事・行事がある

2回ある3連休を使い、
・行楽レジャーを楽しむ
・(敬老の日のお祝いを兼ねて)三世代交流をする
といった行動が見られそうです。

 

②気候・気象与件


【9月ならではの特徴】
9月中旬から10月初めにかけて、秋の長雨が始まります。大雨になることも多く、雨の日は梅雨時期に次いで多いのが特徴。また、日ごとに涼しくなり、秋分の頃から残暑は弱まります。

【2021年9月の動向】
2021年は平年に比べ暖かい秋となり、9月は気温差が激しく、一週間の内に10月下旬~11月上旬並みの寒さと夏日が混在する月でした。
また、災害級の大雨が多発して農作物の生育にも影響し、一部野菜は高値で推移しました。

【2022年9月の予測】※2022年4月24日時点の情報での予測
●「夏の気温が平年より高い」との予報
➙「残暑」や「朝晩・日ごとの気温差」に加え、「厳しい暑さ」で体調不良対策の必要性がより高まるため、関連商材展開への備えがポイントになりそうです。

●元々台風が多い月であることに加え、昨年は7月~8月に災害級の大雨が多数発生。近年の異常気象多発の傾向を踏まえると、今年も大雨発生等の可能性がある
➙野菜の高騰等の影響があることを想定。関連商材は消費が落ち込む可能性があるため、その売上を補填する策が必要となりそうです。

 

③社会与件

今年は、「コロナ動向」と「値上げ」といった事象をおさえ、それに紐づいた“消費マインド・行動の変化”を捉える必要がありそうです。

●コロナ動向
2021年9月はコロナ第5波の真っ只中で、緊急事態宣言も発令されており、内食需要の高まりが顕著でした。2022年については、9月時点においても引き続きコロナ禍の可能性は高いものの、3・4回目のワクチン接種の進行や、旅行やイベント事業の活性化を促す政府施策により昨年よりも外向きの消費行動が活性化すると見込まれます。特にレジャーについては、優先的に財布の紐を緩めることが予測されます。

●値上げ
2022年は、様々な要因で食品の値上げラッシュです。以前から、コロナの影響によるサプライチェーンの停滞・人手不足・原油高や天候不順の不作などで値上げが懸念されていましたが、ウクライナ情勢の影響も加わり、さらに加速しそうです。また、ロシア・ウクライナが「小麦」の世界的な輸出国であるために、両国からの輸出量が減ることで世界的に品薄となり、値上がりするとの見方もあります。
一方で、日本で食料自給率が高い「米」は値下がり傾向のため、今後「米」のニーズが高まる可能性も考えられます。その他、9月に旬を迎える「サンマ」も、元々の資源量の減少に加え、燃料費高騰・ウクライナ情勢の影響による品薄化・それに伴う値上げが懸念されています。

 

④消費動向

家計調査データより、内食・外食費の日別推移や、月別に支出の高い特徴的な商材を抽出してみました。
(当社の「歳事・マーケットレポート(有料)」より消費動向の部分を抽出。)

●2021年も2022年と同じ曜日まわりの年も、「内食費」のピークは連休中であった
➙“連休中の売り上げをいかに伸ばすか” が、9月の売上目標達成に向けての重要なポイント。

●新米をはじめとする「秋の味覚」商材の消費が伸長した
➙「秋の味覚」へのニーズは毎年この時期に高まる傾向があるため、今年も訴求強化が必要。

●「残暑」の影響で需要が高まったとみられる商材の伸長が見られた
➙今後の気象予報を見ながら見定める必要はあるが、「残暑」関連商材の展開強化に向けた備えは、今年も必要がありそう。

2022年9月度の戦い方(売上拡大のための方向性)

ここまで見てきた「2022年9月の月度計画立案のポイント」から、2022年9月の戦い方は、以下のように導くことができます。

①内食需要が最大化すると想定される「3連休に向けた取り組み」が重要<ハレ>

・昨年よりも行楽レジャーが活発化すると予測され、それに伴い内食は厳しい状況が見込まれるが、
3連休初日からの需要獲得に向けた展開で、売上拡大を狙う。
・3連休中に「敬老の日」があることから、3世代の集まりをはじめとする“家族でのお祝いシーン”を想定した提案は必須。同時に、「敬老の日」に関することを実施しない層への施策も必要。

②新米はじめ「秋の味覚」は、月を通して売上最大化に向けた取り組みを展開<ケ>

・「秋の味覚」へのニーズは毎年この時期にあり、今年も堅調な推移が見込まれるため、訴求強化は必須。
更に今年は、ウクライナ情勢の影響により注目度が高まりそうな「米」などの国産商材を中心に、消費意欲を刺激する展開で売上創出する。

・一方で、「秋の味覚」は天候により供給不安定となる可能性もあるため、その場合の売上補填する策も検討が必要。

③この時期特有の気候・気象に関連した商材の強化<ケ>

・今年も厳しい残暑や異常気象の可能性あり。残暑によりニーズが高まる商材や、秋バテ対策商材への需要が見込まれるため、展開強化がポイント。

 
2022年9月は、わかりやすい大きな消費モチベーション(オリンピックのようなビッグイベントや、クリスマスのような大型歳事)がありません。だからこそ、 「この月における<ハレのシーン>がいつか」を見極めることと同時に、 「この月の<ケ>のシーンにおいて底堅い需要が見込まれることが何か」を見定め、効果的な展開方法を考えることが重要です。
2022年9月は、この<ハレ>と<ケ>に向けた取り組みを2本柱とした計画を立て施策展開していくことが、売上最大化のポイントと言えそうです。

おわりに

本記事では、流通小売業において【月度計画を立てる上での考え方(基本のキ)】と、 その具体例として【2022年9月の戦い方予測(ポイント)】をご紹介しました。
2022年9月度における、売り上げ拡大のための具体策については、各種サービス・サポートメニューをご用意しております。ご相談内容に応じて最適なサービスをご提案させていただきますので、最下にあるフォームよりお気軽にお問い合わせください。

(株)クレオは、
●家計消費支出など消費者基礎データ
●歳事に関する定量調査や食卓写真調査など生活者リサーチ
●最新の流通展開事例
●最新のトレンド
●政治、経済、コロナ動向など最新の時事情報
などを踏まえ、販売戦略・販促戦略を検討する上で、捉えなおすべき変化感や潮流を多角的な視点で提言しています。
それらを踏まえながら、販促・MD計画(年間/半期/四半期/月度/週)、52週MD戦略を筆頭に、歳事戦略、プロモーション領域までも含め、お客様の売上最大化に貢献できるマーケティング業務を承っております。
>クレオの課題解決型マーケティングサポート事例はコチラ

「月度取り組み」を支援するサービスのご紹介

歳事・マーケットレポート(有料)

過去10年以上継続的に実施しているオリジナルアンケート調査や、トレンド情報をもとに、月度ごとにマーケットチャンスをまとめたサービス、『歳事・マーケットレポート』を発行しています。
このレポートでは、対象月の消費支出、家計調査支出状況、主要歳事テーマ(月2~3本)におけるマーケットチャンスをまとめ、『必ず売るべき定番』と『捉えなおすべき変化・トレンド感』を提言しています。


・月度の販促計画を検討されている方(特に、食品メーカー様、食品小売業様)
・手軽に今年ならではの販促ポイントをつかみたい方
・食品小売業の月度販促への理解を深めたい方(初めて食品小売業の月度販促に携わる方も!)
・チラシ計画を立てられる方

といった、様々な方の活動をサポートする資料となっています。
「2022年9月度 歳事・マーケットレポート」では、【秋の味覚】【秋の運動会・遠足】【敬老の日】【秋のお彼岸】といったテーマを取り上げています。
気になる方はフォームから是非お問い合わせください。

「歳事・マーケットレポート」サンプル版のご紹介(無料)

「2022年9月度 歳事・マーケットレポート」のサンプルを、無料でダウンロードいただけます。
気になる方はフォームからお申込みください。

転載・引用に関する注意事項

1、本ページの記事内容、関連する調査の集計結果、レポート等の著作権は、株式会社クレオが保有します。転載・引用の際は出典を明記ください 。
【出典の記載例】
出典:(株)クレオ 生活行動研究室「【月度計画の考え方】と【2022年9月の戦い方予測】に関するマーケティングレポート」
2、編集、加工などをしてご利用する場合は、上記出典とは別に、編集・加工等を行ったことを記載してください。
【編集・加工等して利用する場合の記載例】
(株)クレオ 生活行動研究室「 【月度計画の考え方】と【2022年9月の戦い方予測】に関するマーケティングレポート」を加工して作成
3、当記事・当データ・レポートは、正確性、有用性、確実性その他の保証をするものではありません。当データ・当レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。
4、当データ・当レポートは、以下更新日時点での情報で作成しています。
最終更新日:2022年4月24日

お問い合わせフォーム

一覧にもどる