当企画で取り上げる問題は、ママたちの健診・人間ドック受診率の低さです。 受診のハードルとなっている「健診=受けに“行く”もの」という従来の在り方を見直すプランと、「ママの健診=家族にとっての楽しみ」につながる仕組みを通じて、気兼ねなく健診を受けられる世の中にしていくプラン、2つのプランをご提案します。
約4割。
これは30代女性における、健診・人間ドックを受けていない人の割合です。
驚きの多さだと思いませんか?
長寿大国といわれる日本ですが、実は健診や人間ドックの受診率の低さは社会課題となっており、なかでも子育て世代である30-40代女性の受診率は、同年代男性と比べて約1~2割低いことが明らかになっています。
参考: 「2019年国民生活基礎調査」(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/04.pdf)
日本は職場で健診を受ける機会が多いため、女性の低受診率の要因としては「男性に比べ正規雇用が少ない」「出産を機に離職を選択するケースがある」などが考えられます。
一方で、自治体が実施する健診や、被扶養者として旦那さんの会社の健診を受診するといったような、健診の選択肢自体はあるにも関わらず、未受診者が多い背景には、「忙しくて時間がない」「子どもの預け先がない・預けるのがかわいそう」といったママたちの事情が大きく影響しているのではないでしょうか。
私にも愛する息子がいるのでわかりますが、母親となってからは、見事に子ども最優先の生活に一変。今でこそ会社で定期的な健診を受けていますが、産休・育休を取得している期間は、自分の健診のことなど考える暇なく、日々過ぎ去っていきました。
定期健診を受けることの大切さも「早期発見・早期治療」の重要性も、頭では理解している。それでも「いま元気だから。症状がないから。わたしは大丈夫。」と、目の前のやるべきことをこなしているうちに、長らく受診していなかった…というようなママたちの事情も、母親になった私も今だから理解できます。
だからこそ「毎年健診を受けましょう(ママ自身の工夫でね)」ではなく、忘れていても思い出せるような、そして健診のためにわざわざ子どもを預けたり、そのことに申し訳なさを感じたりする必要のない仕組みがつくれたら、という想いで企画を立案しました。
今回は、健康や将来について考える場であり、出産前後の利用も多い保険代理店に着目したプランと、女性・ママの健康を応援したい・なんらかの形でサポートしたいと考える企業同士が共創していけるようなプランを考えましたが、“自分のことはついあと回し”になりがちなママに代わって、パートナーであるパパや家族、最終的には社会全体が一丸となって手を差し伸べられる。そんな社会になることこそが、この課題解決に向けた本当の一歩になるように思います。
女性の健診受診率の向上は、近年日本でも注目が高まっている「予防医療」の観点からも非常に重要なテーマであり、SDGsの目標にある「ジェンダー平等を実現しよう」「すべての人に健康と福祉を」などにも通ずる課題ではないでしょうか。
ママたちに限らず、すべての人にとって、年1回の健診・人間ドック受診が当然のこととなるよう、まずは当企画が課題について知り、考えるきっかけとなることを願っています。
あなたの家族は、きちんと健診を受けられていますか?