社会問題化している高齢ドライバーによる交通事故。高齢者自身も免許の自主返納については考えているものの、免許を返さないリスクより、免許を返すデメリットの方が大きいと
感じてしまい、まだ返納できていないというのが実際のところなのかもしれません。
そこで、「免許返納=何かを諦めることではなく、次のステージに踏み出せる、新しいことを始めるいい機会」と捉えることができるプランを考えました。
車自体の技術の発展等の効果で自動車による死亡事故件数は減少傾向にあり、高齢ドライバーによる交通事故も緩やかに減少はしています。しかし、超高齢社会である日本では、当然ドライバーの高齢化も進んでおり、高齢者の免許保有率は増えていく傾向にあります。そのため、各自治体で代替移動手段のサービスの提供や自主返納特典の提示、運転を続けるリスクのアナウンス等を実施しています。しかし、これらの方法だけでは高齢ドライバーが積極的に自主返納する行動に至っていないというのが現実です。
高齢ドライバーが免許を返納しない理由は、「生活に必要」「運転ができる自分から運転ができない自分になることへの抵抗感」「ドライブが趣味」「自分の好きな時間に自由に移動したい」等、人によって様々です。
「親の運転に不安」を感じていて、「免許返納を促すものの、なかなか納得してくれない」といったことは、皆さんの周りでもよく耳にすることではないでしょうか?
そこで、免許返納特典の種類を増やしたり、変更したりという発想ではなく、高齢者自身が自ら免許を返したくなる空気感をつくるにはどうしたらよいのか?という視点でアイデアを考えました。
アイデアを考えるにあたり、発想のヒントとしたのは、かつて流行した「赤信号みんなで渡れば怖くない」といった表現にみられる「同調行動(まわりの意見や行動に合わせて、自分も同じように行動をしてしまうこと)」です。
「友達のAさんも、会社で同期だったBさんも、接骨院仲間のCさんも、免許を返納したんだって!しかも、みんなで、〇〇始めたんだって!!」となれば、私も免許返納しようかな?とキモチが揺らぐのが自然の流れだと思います。
1人で免許を返納することを決断するのは、ちょっと不安だったり、同じ年の〇〇さんもまだ運転しているから、私だってまだまだそんな年じゃないぞってキモチになったりすると思います。
でも、一緒に返納する仲間がいて、一緒に新しい一歩を踏み出せる仲間がいたら、免許を返納することへの抵抗感を減らすことができるのではないか?と考えました。
「みんなで返せば怖くない!人生楽しみたいならみんなで進め!!」を合言葉に、「一緒に免許を返納する仲間=免許返納同期」と一緒に何かを始めるきっかけを提供するともに、その新しい活動を楽しむための支援を受けられるスキームを提供することで、ポジティブな理由で免許を返納したくなる高齢者の方を増やすことができるのではないかと考え、企画を立案しました。
「身体能力・判断能力が落ちたから、免許を返納しなくちゃ!」ではなく、「気心の知れた仲間と楽しいことを始められるから、みんなと一緒に返納したい!」というキモチを創る。
もちろん、免許返納できない諸事情もあると思いますが、免許返納を考えるきっかけの1つになるといいなと思っています。
気心の知れた仲間と一緒に免許返納をし、仲間と気軽に新たなことを始めることで、これまで以上に仲間に会える機会が増えて、新しい楽しみが増えることにつながったら、「何かを捨てる免許返納」ではなく、「何かを新しく始めるための免許返納」になります。そんな世の中は、ちょっと楽しいはずです。
高齢ドライバーの免許返納問題に取り組んでおられる各団体、自治体、特典提供企業の皆様からのお問い合わせや、自分自身が高齢ドライバーになった時に、こういうサービスがあったらいいな!というご意見、お待ちしております。