2025.12.02

生活者研究

販促・マーケティング

共感を生む「生活者マインド・マーケティング」とは

共感を生む「生活者マインド・マーケティング」とは

気候変動や物価高騰など、生活者を取り巻く環境が目まぐるしく変化する不確実性の高い社会において、購買や消費の在り方も刻々と変化しています。そのため、マーケティング活動においては、生活者のニーズに寄り添い、生活者から共感を得られる戦略がこれまで以上に重視されています。

そこでご紹介したいのが、「生活者マインド・マーケティング」の考え方です。

クレオでは、生活者視点に立ったマーケティングを行う際に、生活者の購買行動を理解するだけでなく、その背景にある「生活者マインド(気持ち)」を読み解くことが重要と考えています。本記事では、「生活者マインド・マーケティング」の基本的な考え方とその重要性についてご紹介いたします。

共感を生む鍵は、行動の起因となる「生活者マインド」

少子高齢化や人口減少による市場の縮小、気候変動による夏の長期化・酷暑化、さらには物価高――。私たちを取り巻く環境は加速度的に変化しており、従来型のマーケティングや過去の経験則だけでは、商品やサービスが選ばれにくくなっています。また、SNSを通じた情報発信や共有が日常的になり、SNS社会とも呼ばれる昨今では、生活者同士の口コミや共感が購買に大きな影響力を持つようになっています。

このような状況下で企業に求められるのは、生活者の共感を得る自社商品やサービスを提案することです。そのためには、「生活者マインド」を読み解くことが重要になります。「生活者マインド」とは、顕在化している「生活行動(購買)」の起因となるものです。例えば、「コンビニで新作スイーツを買う」という行動の背景には、「話題に乗りたい」「頑張った自分へのご褒美にしたい」など、購入者それぞれのさまざまなマインドが存在しており、顕在化した「スイーツを買う」という行動そのものよりも、それを引き起こしたマインドに着目することで、購入者のニーズにより寄り添った提案が可能となります。

このように、行動の起因となる「生活者マインド」を把握することは、潜在的な需要を掘り起こし、生活者から共感を得られる提案につながると考えます。

「生活者マインド」の構造

クレオでは、行動の起因となる「生活者マインド」を、3つの階層「ベーシック(保持)」「アジャスト(調整)」「グロース(拡張)」に大きく分類し、その本質的なニーズから階層ごとに3つずつ、合計9つの中分類を設定しています。この考え方は「マズローの欲求階層説」をヒントに整理をしています。365日の暮らしのなかで生まれる、誰もが感じる基本的な欲求からしっかり捉えることを重視しました。

まず、一番下の青色の階層が「ベーシックマインド(保持)」です。心身の脅威を緩和し現状を維持しようとする日常生活で誰もが抱く、ごく基本的かつ普遍的なマインドを分類しています。2段目の緑色の階層は「アジャストマインド(調整)」です。現状にちょっとした工夫や変化を加えて日々をより快適に過ごしたいというマインドが該当します。そして一番上のオレンジ色の階層は「グロースマインド(拡張)」です。社会と繋がりながら、より良い未来を目指したいといったマインドが該当します。

データで見る「生活者マインド」と購買の関連性

次にこのような「生活者マインド」が、購買にどのように影響しているか具体例を見ていきましょう。

以下の図は、2024年の月別における「暑い」に関するマインド指数と、「大人用サンダル」の支出金額の推移を示しています。マインド指数はSNS上の関連投稿数を独自に指数化したもので、生活者が「暑い」と感じるタイミングの変化を可視化しています。年間の月平均投稿量を100として算出しており、指数が高いほど関連投稿が多く、そのマインドが強く表れていることを意味します。

この指数の推移を見ると、「暑い」と実感する生活者が4月にはすでに増え始め、7月にピークを迎えています。一方、「大人用サンダル」の支出金額も、暦上の夏である6~8月だけでなく、4月頃から大きく増加傾向にあることがわかります。「暑い」と感じるマインドが、サンダルの購入を後押しする要因のひとつになっていると考えられます。

このように、マインドの動きは購買にも関係しているため、マインドの動向を捉えていくことは、購買を促すマーケティングの視点において重要なのです。

「生活者マインド・マーケティング」とは

クレオでは、以下の図のように、生活者マインドが購買行動を強く後押しする心理的なトリガーになり得ることを可視化しています。

日々の暮らしの中で感じられる気持ちである「生活者マインド」に影響を与えるのが、季節や気象、社会情勢などの生活環境です。こうした環境の変化を受けてさまざまなマインドが生まれますが、そのなかの一部が「買いたい」という気持ち、つまり購買動機へとつながると考えています。クレオでは、この購買のきっかけとなるマインドを「トリガーマインド」と呼んでいます。

この体系をもとに、企業様の商材のトリガーマインドが何であるかを定量的に可視化し、見極めていくことで、新たな拡販のチャンスや新しい需要を生み出すことができると考えています。そしてこうしたアプローチが「生活者マインド・マーケティング」になります。

すなわち「生活者マインド・マーケティング」とは、季節や気象、社会情勢など、日々変化する生活環境の中で生まれる「生活者マインド」に着目し、生活者の共感を得られる価値を発見することです。

おわりに

クレオでは、本記事でご紹介したような「生活者マインド・マーケティング」をベースに、生活者マインドの全体的な動向を明らかにするメニューから、企業様の商材に特化したマインド分析まで、幅広いマーケティング支援を行なっています。

大きく2つの領域があり、1つ目は、「生活者のマインド・行動の年間動向や変化を把握」するもので、こちらには『生活者マインド大全』と『生活者マインドトレンドレポート』の2つのメニューが該当します。2つ目は、「企業様の商材にとってのトリガーマインドの動向を把握」するもので、企業様の商材に親和性の高いトリガーマインドを見つけるところからご支援する『マインド診断』と、商材のトリガーマインドが特定されている場合に、関連するマインドのデータとその分析結果をご提供できる『簡易マインド分析』というメニューをご用意しています。

詳細は以下フォームより無料でダウンロードいただける資料に掲載しておりますので、ご関心をお持ちの方は、ぜひ下記より資料をダウンロードいただき、お気軽にご相談ください。

執筆者:マーケティング開発部 生活者マーケティング課 荒井

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