2025.10.27
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2025~2026年 年末年始の動向予測|お盆の消費行動データから読み解く長期休暇の過ごし方

最大で9連休の長期休暇取得が可能となる2025~2026年の年末年始。昨今の物価高を背景に、生活者のコスト意識が高まる中、生活者は長期休暇をどのように過ごすのでしょうか。
年末年始のような長期休暇動向を予測するには、直近の長期休暇であるお盆の動向が指標となります。本記事では、クレオのオリジナル調査の結果をもとに、まずはお盆の生活者の消費行動データを分析し、長期休暇における消費・過ごし方の傾向を把握していきます。そして、それを踏まえて2025~2026年の年末年始の動向を予測します。
1.2025年お盆の消費動向
(1)2025年お盆の帰省状況
2025年のお盆は、2025~2026年の年末年始と同様に最大で9連休となる日並びでした。
では、生活者は2025年のお盆期間をどのように過ごしたのでしょうか。
お盆期間における帰省状況を見ると、帰省率は前年に比べてやや減少傾向にあります。「帰省しなかった」と回答した人の中でも、「帰省先はあるがしなかった」人が3割程度を占めており、前年に比べて1.7ポイント増加しています。次に、お盆期間に帰省しなかった理由について見ていくと、「自分の家で過ごしたかったから」が最も多く、次いで「お盆期間を避けた時期での帰省を考えていたから」が続きました。「お盆期間を避けた時期での帰省を考えていたから」と回答した人は、前年に比べて7.7ポイント増加しており、特に増加が目立ちます。こうした調査結果から、お盆期間は旅費が高く、混雑するため、“お盆に帰省する”という従来の習慣にこだわらず、都合のよいタイミングで帰省する傾向が強まっていると考えられます。

(2)お盆期間中の旅行・レジャー・外食の実態
続いて、お盆期間の帰省以外の過ごし方について見てみると、「家で過ごした」が最も多く、次いで「ショッピングや買い物に出かけた」が続きました。前年からの伸長率を見ると、長期休暇を取得しやすい日並びであったため、「海外旅行」が微増しています。一方、「国内旅行」は減少し、そのかわりに日帰りレジャーが増加しました。長期休暇を活かした遠出を選ぶ人も一定数いたものの、近場や家で過ごす人が多いようです。
年代別で詳しく見ると、20代・30代ではレジャー関連の項目が大きく伸長していることが分かりました。40代以上はいずれの項目もほぼ横ばいで、前年から大きな変化は見られず、若い世代ほど消費意欲が高まってきている傾向にあることがうかがえます。20代・30代で大きく伸長したのは、「日帰りレジャー」「ショッピングや買い物」「外食」といった近場レジャーの項目です。若い世代を中心に、経済的に無理なく楽しめる近場レジャーの需要が高いことが分かりました。

(3)2025年夏・猛暑の消費行動への影響
続いて、2025年の夏がどのような環境だったのかを振り返ります。2025年の夏は、平均気温が統計開始以来で最高となり、記録的な猛暑となりました。また、日最高気温は207地点で観測史上最高を記録したほか、東京では猛暑日の継続日数が過去最長を更新し、最も暑い夏となりました。

記録的な猛暑の影響で、熱中症リスクを回避するため、涼しく快適に過ごせる「屋内レジャー施設」が盛況だったという報道が多数見られました。また、屋内の遊戯施設の開業も増えています。大型小売店では、お盆期間中に実施した屋内イベントが好評だったようです。こうした点から、「日帰りレジャー」「ショッピングや買い物」においては、暑さをしのいで快適に楽しめる「避暑レジャー」として楽しまれていることがうかがえます。
また、「外食」では、「回転寿司」や「焼き肉」など、“楽しさ”を感じられる外食業態が人気となっています。
(4)2025年お盆の消費動向のまとめ
2025年のお盆は、最大で9連休となる長期休暇を取得しやすい日並びではあったものの、生活者の過ごし方を見ると、若年層を中心にコストのかかる遠出よりも、比較的経済的な負担の少ない近場レジャーの需要が高いことが分かりました。近場レジャーでは、楽しさを感じられる外食業態や、暑さをしのげる「避暑レジャー」が特に人気でした。
こうした動向から、長期休暇における生活者意識を考察すると、経済的な負担や猛暑による日常生活でのストレスを回避し、近場で“無理をせず、自分なりの楽しみ方を見出している” といえるでしょう。

2.2025~2026年の年末年始の動向予測
(1) 2025~2026年 年末年始の日並びと休暇動向予測
ここまで、2025年のお盆の動向について見てきました。続いては、2025年のお盆と同様に最大9連休となる2025~2026年の年末年始動向について考察します。
2025~2026年の年末年始は、12月28日が日曜日となるため、12月26日(金)に仕事納めとなる企業が多くなる見込みです。
2024~2025年の年末年始も最大で9連休でしたが、休暇率は各日6.5~8割以上の高水準が続きました。一方、2025~2026年の年末年始と同じ日並びであった2014~2015年の休暇取得率を参考に見ると、12月29日(月)は他の日よりも低く、約6割にとどまっています。そのため、今年の年末年始は昨年よりも休暇が短くなる層もいると考えられます。
そういった層は、年末よりも年始に連続した休暇を取得しやすくなるため、帰省や旅行の時期を後ろ倒しにするなど、年始を重視した過ごし方が増える可能性があると推測されます。

(2)環境与件
では、年末年始にかけて、生活者の経済状況はどのようになるのでしょうか。直近の経済動向を見ると、電気・ガス料金の補助が9月使用分で終了し、10月使用分(11月請求)からは料金が値上がりするほか、食品の値上げなども実施されるため、家計の負担は一層厳しくなりそうです。

また、百貨店を中心に、2026年の初売りを1月2日から3日に遅らせる動きが相次いでおり、年始休暇中の出掛け先の選択肢が減ると考えられます。
(3)2025~2026年の年末年始動向予測のまとめ
2025~2026年の年末年始も、昨年の年末年始や今年のお盆と同様に、最大9連休の長期休暇を取得しやすい日並びとなっています。しかし、電気・ガス料金の補助終了や食品の値上げなどによる物価高が続くため、消費に対する慎重な姿勢は年末年始においても継続すると考えられます。
また、人によっては昨年よりも休暇が短くなる可能性があることに加え、初売りを1月3日に遅らせる動きも見られることから、近場や家で過ごす傾向がさらに強まると考えられます。
直近の長期休暇であるお盆における生活者意識では、経済的な負担や日常生活でのストレスを避けつつも自分なりに近場で楽しむ過ごし方が見出されており、2025~2026年の年末年始も、身近な場所で“ほどほどの満足”を見つける過ごし方が増えると推測されます。

3.おわりに
本記事では、直近の「お盆」や、2025~2026年と同じ日並びであった年の「年末年始」のオリジナル調査データをもとに、生活者の年末年始動向を分析・予測しました。
クレオでは、長期休暇に関する調査として、「ゴールデンウィーク」「お盆」「年末年始」の調査を毎年実施しています。動向予測を行う際には、前年や同じ曜日回りの年の生活者動向、経済環境などを組み合わせて分析することが有効です。長期休暇中の動向予測に調査データを活用されたい方には、データの販売も行っております。ご興味がございましたら、ぜひお問い合わせください。
執筆者:マーケティング開発部 生活者研究課 Y.S.
調査結果の一部は「生活者データ」でもご紹介しています。
2025年7月・8月のお盆行事に関する調査はこちら
2025年ゴールデンウィークに関する調査はこちら
2024年〜2025年 年末年始の休暇に関する調査はこちら
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長期休暇については、お盆や年末年始、ゴールデンウィークのほか、2026年に11年ぶりに到来するシルバーウィークや、休暇に対する価値観についても掲載しております。
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