2025.08.05
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食卓の季節変化対応に向けて ~ロングサマーの生活者実態からみる新しい秋冬の提案ポイント~

2024年7月に公開した「四季がなくなる!?地球温暖化と未来の生活者の季節観~2030年の暮らしを捉えるVol.4~」では、変わりゆく四季への適切な対応について取り上げました。2025年もすでに記録的な暑さが続いており、7月中旬時点で降水量は少なく、農作物への影響も見られ始めています。こうした気候の変化は、今後のわたしたちの日々の食卓にもさまざまな影響を及ぼしていくことが考えられます。食品スーパーの展開に目を向けると、涼味の展開は早まり、鍋商材の打ち出しは後ろ倒しに、秋の提案は各社とも打ち出し方に迷いが垣間見えます。今回のレポートでは、特に「暑い秋」「暖かい初冬」に焦点を当て、食卓の変化と提案のポイントを分析します。
1.残暑の厳しい秋に需要の高い味わい
気象庁の長期データによると、9月・10月の平均気温は年々上昇傾向にあります(図1)。昨年の秋も、残暑の影響を多くの方が実感し、その割合は約8割にものぼりました(図2)。こうしたなかで具体的な食卓の変化をみていくと、スタミナづけの意識よりも、軽やかで食べやすいメニューが増えたり、栄養を意識した摂り方を工夫する傾向が目立ちました。
従来、夏バテ対策向けとして多く打ち出されてきた“さっぱり&がっつり”といった味わい別の提案から一歩進み、長く続く暑さの中での食べやすさと栄養バランスを両立できる、新たな提案が必要になっているようです。
一方でSNS解析データなどからは、気温の面だけでは夏が続いていても9月・10月には秋の味覚への関心が高い様子があり、季節感や新鮮味への需要の高さもうかがえます(図3)。
2.鍋料理の需要期の変化・はしり期の味わい
鍋料理の喫食時期を見てみると、暑い時期が長引いたことで後ろ倒しが顕著になっています(図4)。春の気温上昇も早まってくると鍋商戦はさらに期間が短くなり、これまでと同じ展開内容では単純にマーケットが縮小してしまう恐れがあります。まだ暑い時期の鍋メニューの内容についてみてみると、定番の「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」「おでん」のほか、「さっぱりした味付けの鍋メニュー(レモン鍋・塩鍋・水炊きなど)」の需要が比較的高い様子が見られます(図5)。鍋料理においても、暑くても食べやすい味わいのメニューの提案にチャンスがありそうです。しかしながら、純粋に熱々の鍋料理を敬遠する人も多いことが推測されるため、鍋料理の提案を工夫すると同時に、別の新たな提案を打ち出していくことも必要であると考えます。
3.おわりに
このように、夏の長期化による喫食タイミングのズレに合わせるだけでなく、生活者の意識・行動の変化を捉えて提案内容・切り口のアップデートが必要です。今回掲載している定量データを含めた生活者・食卓実態は、『生活者実態からみる ロングサマー環境下での食卓提案ポイント』レポート(6月発売)にて詳しくご覧いただけます。ランキングデータは数値も読み取れるようになっています。鍋料理と同様に汁物・スープメニューの喫食の推移や、食品価格高騰下での野菜の利用状況など、秋冬の施策立案に役立つ分析を掲載しています。
暑い秋・暖かい初冬という難度の高まった新しい秋冬の対策に、ぜひ本レポートをご活用ください。
『生活者実態からみる ロングサマー環境下での食卓提案ポイント』レポート
掲載内容
1.ロングサマーによる残暑~秋冬の食卓変化 秋の味覚編
・ロングサマーの実態
・残暑下の食卓への影響
・食の嗜好の変化
2.ロングサマーによる残暑~秋冬の食卓変化 鍋・汁物/スープ編
・ホットメニュー導入時期の変化
・残暑下でも需要のある鍋メニュー
・汁物・スープメニューの推移
・物価高騰下の鍋食材
3.総括
・生活者実態のサマリー
・食品スーパーの取り組みポイント
・食品メーカーの取り組みポイント
4.Appendix
・米高騰に対する意識行動
クレオでは今後も生活者の食卓変化や食部門に限らないくらしの変化感を見つめ、生活者・企業様の課題解決に向けたご提案を行ってまいります。
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出典:(株)クレオ「ロングサマーの生活者実態からみる新しい秋冬の提案ポイント」記事
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