2025.06.24
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2025年お盆休みの消費とレジャー・旅行動向は?独自調査とゴールデンウィーク実績から動向を予測

物価高や円安などによる家計の圧迫が続いています。そのような状況下で、2025年のお盆休みにおける生活者の動向はどのようになるのでしょうか。
ゴールデンウィークとお盆休みは、いずれも大型連休として共通する傾向が見られることから、ゴールデンウィークで見られた動きはお盆休みの動向を予測するうえで有効な指標となります。こうした点を踏まえて、本記事では、2025年のゴールデンウィークの経済および交通動向や、クレオのオリジナル調査結果の経年比較をもとに、2025年のお盆休みの動向を予測します。
1. 2025年ゴールデンウィークの旅行・消費動向と生活者の過ごし方
(1)2025年ゴールデンウィーク期間の経済動向と旅行費・ガソリン価格
まずは、2025年ゴールデンウィーク期間中の経済動向を整理します。
ドル円相場は2025年5月2日時点で1ドル=約145円、ユーロ円相場は1ユーロ=約164円でした。2024年のゴールデンウィーク期間中は、ドル円・ユーロ円ともに過去20~30年での最安値を記録した時期であり、それと比較すると、2025年のゴールデンウィークは円高傾向となりました。物価高ではありますが、円相場の影響を受けてか、「外国パック旅行費」の消費者物価指数は2024年4月の175.2から2025年4月は173.4へと、わずかに下落しました。
一方、人件費の高騰やインバウンド需要の増加を受けてか、国内旅行に関係する「宿泊料」の消費者物価指数は2024年5月の153.1から2025年4月は162.6へ、「テーマパーク入場料」は114.3から118.6へと、いずれも高止まりとなりました。また、ガソリン代も政府による補助金の縮小に伴い、1リットルあたり175円台から180円台へと上昇しました。
これらの結果から、2024年のゴールデンウィークに比べ、2025年のゴールデンウィーク期間中の経済環境は、円高傾向により海外旅行がしやすくなった一方、宿泊料やテーマパーク入場料の高止まり、ガソリン代の上昇により、国内旅行では費用負担感が増した状況だったといえます。
(2)主要交通機関(航空・高速道路・鉄道)の利用実績
続いて、2025年ゴールデンウィーク期間の鉄道・高速道路・航空の交通動向について、各社のプレスリリース結果(各年によって期間の設定日数が異なるため、当社で日割り算出)から見ていきます。
前述のとおり、円高傾向により海外旅行がしやすい経済環境だったこともあり、国際線は2024年比で2桁増と好調でした。一方、国内線や高速道路、新幹線・在来線の動きは鈍かったといえます。国内線は2024年をわずかに上回ったものの、高速道路、新幹線・在来線は横ばいか微減する傾向が見られました。ただし、その中でも大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭2025の春会期が開催された関西・瀬戸内方面は2024年を上回っており、イベントによる特需の恩恵が見て取れました。
(3)2025年ゴールデンウィークの休暇取得率と長期休暇化の傾向
2025年のゴールデンウィークは、前半が飛び石連休、後半が4連休と、あまり良い日並びではありませんでした。しかし、同じ曜日まわりだった2014年のゴールデンウィークと比べると、4月26日~5月6日の期間中の休暇取得率は全体的に高まっています。特に注目すべきは、平日の休暇率の上昇です。とりわけ、飛び石となっている4月28日や連休前日の5月2日で休暇率が伸びており、有休と合わせて長期休暇にする人が増えていると考えられます。
(4)2025年ゴールデンウィーク生活者アンケート分析〜自宅・外出・レジャーの実態
2025年のゴールデンウィークの過ごし方では、「家で過ごした」が最も多く、次いで「外食をした」「ショッピングや買い物に出かけた」「日帰りでレジャーに行った」「家でホームパーティをしたり、ごちそうを食べた」と続き、家や近場で過ごす人が多かったことがわかります。また、2024年比では多くの項目で1%未満の増減にとどまり、ほぼ同程度の実施と判断されます。ただし、外食、ショッピング、日帰りレジャーや帰省、家でごちそうを楽しむ、宿泊を伴う国内旅行など、外向きの活動はすべて微減しており、わずかながら引き締め意識がうかがえます。
(5)2025年ゴールデンウィーク動向総括
経済動向、交通動向、生活者の過ごし方を踏まえると、2025年のゴールデンウィークは休暇取得率の上昇が見られた一方、家計負担の増加により、家で過ごす人や買い物を控える人が増え、消費に対してはやや慎重な姿勢がうかがえました。しかし、イベント開催エリアへの外出は好調であったことから、その年ならではの体験や、その時にしか楽しめないことに対しては積極的にお金を使うという選択的投資の傾向が見られました。
2. 2025年夏の経済環境と家計事情の最新動向
(1)2025年夏の賃金・物価・補助政策最新まとめ
ここまで、2025年のゴールデンウィークの動向を見てきました。ここからはお盆休みに向けて、2025年夏の経済環境を整理します。
直近の経済動向を見ると、実質賃金はプラスとマイナスを繰り返しており、飲食料品も値上げラッシュが見込まれるなど、足元の家計負担は引き続き厳しいものとなりそうです。ただし、夏の期間に限れば、2025年の東証プライム上場企業のボーナスは4年連続で支給額が増加し、過去最高額を更新する見込みであり、電気代・ガス代およびガソリン代についても政府の補助による家計負担の軽減が予定されています。お盆休み期間の経済環境は、2025年のゴールデンウィーク時期と比べると明るくなる見通しであり、それに伴い個人消費の回復も期待されます。
3. 2025年お盆休みの連休日数・旅行・イベント動向予測
(1)2025年お盆休みは最大何連休?カレンダーと休暇取得傾向
お盆休み期間の休暇取得率について、2025年と同じ曜日まわりだった2014年の結果を見ると、独身者、既婚世帯ともに、月遅れ盆迎え火の8月13日(水)から送り火翌日の17日(日)の間で取得率が高いことがわかりました。2025年は、8月11日(月)が「山の日」(2016年に国民の祝日に制定)となり、前半3連休、8月12日(火)の平日を1日挟んで5連休となる日並びになります。近年、働き方改革などにより休暇取得促進が行われているうえ、ゴールデンウィーク実績で見られたとおり、有休取得の意識も高まっていることから、8月12日(火)に有休を取得して長期休暇(9連休)にする人が増えることが期待されます。
(2)2024年お盆休みの過ごし方実績〜旅行・ショッピング・外食の動向
2024年のお盆時期は、円相場が1ドル=約146円と現状に近く、ガソリン価格も政府補助により1リットルあたり175円程度を維持していました。また、夏のボーナス支給も3年連続で過去最高を更新しており、前述した2025年夏の経済環境と類似した状況にありました。そのような環境下における生活者の2024年のお盆休みの過ごし方を見ると、「ショッピングや買い物に出かけた」が最も多く、次いで「出かけたりせず家で過ごした」「外食をした」が続きました。また、2023年と比べるとショッピング、外食、国内旅行の実施が伸びており、レジャーや旅行に対する消費について前向きな傾向がうかがえました。
(3)2025年お盆休みの注目イベント〜万博・芸術祭・新オープン施設
直近のゴールデンウィーク期間に好調だった「大阪・関西万博」や「瀬戸内国際芸術祭2025」は、お盆休み期間にも開催されます。
まず、大阪・関西万博については、会期が10月13日までであり、お盆休み期間が万博期間中最後の大型連休となります。また、前回日本で開催された「愛・地球博」の入場者数は、会期後半に向けて増加しており、大阪・関西万博でも、週を追うごとに入場者が増えていることから、お盆休みに向けてより注目が高まることが期待されます。
瀬戸内国際芸術祭は、8月1日~31日に「夏会期」が開催されます。ゴールデンウィーク期間中にも「春会期」が開催されていましたが、一部の開催エリアが異なることもあり、初めて参加する人・リピーターの両方の来場が期待されます。
その他、新たに誕生する大自然没入型のテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業する沖縄県も注目です。
(4)2025年のお盆休みの動向予測まとめ
2025年のお盆期間については、9連休が取得しやすい日並びや政府の補助、夏のボーナス増加による家計負担の軽減などを背景に、全体的に消費活動の底上げが見込まれます。
2024年のお盆休みも同様の経済状況下で、ショッピングや外食分野の消費が前向きな結果となりました。そのため、2025年のお盆休みは、ゴールデンウィーク以上にレジャーや外出が活発化すると考えられます。
加えて、2025年のゴールデンウィークは消費全体は慎重だったものの、イベント開催地への外出は好調でした。「大阪・関西万博」では、お盆休みが開催期間中最後の大型連休となり、「瀬戸内国際芸術祭」も8月から夏会期が始まり、一部開催エリアが変わります。こうした状況からも、お盆休みには関西・瀬戸内エリアへの注目や来訪がさらに高まると期待されます。
4. おわりに
本記事では、「ゴールデンウィーク」や「お盆」のオリジナル調査データをもとに、生活者動向を分析しました。
クレオでは、長期休暇に関する調査として、「ゴールデンウィーク」「お盆」「年末年始」の調査を毎年実施しています。動向予測を行う際には、前年や同じ曜日回りの年の生活者動向、経済環境与件などを組み合わせて分析することが有効です。長期休暇中の動向予測に活用されたい方には、調査データの販売も行っております。ご興味がございましたら、ぜひお問い合わせください。
執筆者:マーケティング開発部 生活者研究課 芦田
調査結果の一部は「生活者データ」でもご紹介しています。
2025年ゴールデンウィークに関する調査はこちら
2024年〜2025年 年末年始の休暇に関する調査はこちら
2024年7月・8月のお盆行事に関する調査はこちら
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出典:(株)クレオ「2025年 お盆休みの動向予測」記事
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【編集・加工等して利用する場合の記載例】
(株)クレオ「2025年 お盆休みの動向予測」記事を加工して作成
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