2024.12.19

生活者研究

未来予測

企業が未来を切り拓く市場創造の方法

企業が未来を切り拓く市場創造の方法

近年では、「VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)」時代と呼ばれるように、不確実で複雑な時代が続いています。
このような環境下では、既存の延長線上ではなく、未来の市場創造を目的としたビジネスの芽を見つけ、柔軟にチャレンジしていくことが重要です。しかし、将来の市場予測には不確実性が伴い、未来を見通すことは困難です。日進月歩の技術革新だけでなく、環境変化により生活者の価値観も大きく変化しており、未来の暮らしは予測しづらくなっています。そのため、未来を見据えた取り組みが思うように進まないことが多いのです。

本レポートでは、そのような課題を抱える方々に向け、未来の市場創造をするための効果的な方法をまとめました。

1. 未来の市場創造を考える際の悩み

既存の延長線上ではない、未来を見据えた市場創造が必要だと分かっていても、その取り組みの難しさを感じる人が多いようです。よく聞かれる悩みとして、

  • 広範囲にわたる未来の環境情報から何を優先して把握すべきか迷う。
  • 未来の環境を理解しても、具体的な生活変化を予測するのが難しい。
  • 現在の事業や過去の経験にとらわれ、思考が柔軟になりにくい。
  • 目標を設定しても、目指したい方向性の共有が困難であり、一体感を持って進めない。

こうした悩みを克服し、既存の枠を超えた未来の市場創造へのアプローチを見つけるには、体系的な視点が不可欠です。
以下に、踏むべきステップをご紹介します。

2. 未来の市場創造を考えるために踏むべきステップ

(1)未来の暮らしの変化を予測する

まずは、目指す未来のマクロ環境を理解することが重要です。そのために、PEST分析などのフレームワークを活用して、政治、経済、社会、技術といった要因が私たちの暮らしにどのような影響を与えるかを予測します。世帯構成、未婚率、平均所得、働き方、時間の使い方、消費動向など、生活に関わるデータの長期的な変化を把握することは、将来の暮らしの変化を予測する上で役立ちます。
中でもデモグラフィックデータは、今後の推計が出ており、未来の暮らしに確実に変化をもたらす要素として抑えておくとよいでしょう。

このようにマクロ環境から、未来の暮らしがどのように変化するのかを予測します(図1)。

未来の市場創造は、未来の生活者ニーズがあって初めて成立します。そのため、未来に起こりうる事実や事象をまとめるだけでは不十分です。未来の暮らしの変化を予測することで、その変化から新たに生まれるニーズを考えやすくするメリットがあります。

(2)生活者の長期価値観を考える

未来のマクロ環境を理解し、それに基づいて暮らしの変化を予測するだけでは、それに関連する未来のニーズも、単なる空想に終わってしまう可能性があります。そのため、確実性の高い未来のニーズを予測するには、過去から現在までの生活者の長期価値観を把握することがポイントです。

長期価値観は半年や1年ではなく、より長い期間にわたって生活者の動向を俯瞰して見る必要があります。例えばクレオでは、長年にわたり生活者の暮らしを研究しており、その一環として毎年『生活者マインド大全』という書籍で、次年度の生活価値観について提言しています。この提言は、政治、経済、社会、技術のマクロ環境と、これまでの生活者の動向を背景に、その年の注目すべき価値観として7〜8つのキーワードで表現しています(図2)。

この毎年のキーワードを直近10年の期間で共通する意味をまとめたものを、生活の底流となっている長期価値観として捉えています。現在、12の長期価値観を把握しています。例えば、その一つに「Comfort」があります(図3)。これは、日常生活における充足感や心地よさを求める価値観です。この「Comfort」は、その時々に形を変えながらも、生活の底流の軸として継続しています。

このように、生活者の長期的な価値観は、短期的な流行に左右されるものではなく、今後も重視される軸であるため、未来のニーズを考える上で重要な指針になります。まさに、羅針盤のような存在です。

(3)「未来の暮らし変化」と「生活者の長期価値観」を融合する

「未来の暮らしの変化」と「生活者の長期価値観」という2つの視点の融合は、将来の不確実性をある程度軽減し、より解像度の高い未来のニーズ予測を可能にします。
また、2つの視点を持つことは、現在の事業や過去の経験にとらわれない思考をするための有用なフレームワークでもあります。

この未来のニーズを考える過程を、ワークショップ形式などで主要メンバーと共有する方法もあります。これにより、メンバー間の理解が深まり、実行への移行がスムーズに進むようになります。

3. 最後に

以上のステップを踏まえることで、不確実な未来に対しても、市場創造の可能性を高めることができると考えます。常に新しい視点を持ち続け、未来の市場創造にチャレンジしていくことが、これからの時代には欠かせません。このレポートが、貴社における未来に向けた活動にとって参考になれば幸いです。

クレオでは、生活者研究の知見を基に、これらの課題解決を支援する多様なサービスを提供しています。ご興味をお持ちになった方は、ぜひお問い合わせください。

今回ご紹介した未来の市場創造する方法をまとめたシートをご用意しております。ご興味ありましたら、ぜひダウンロードしてみてください。

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