2024.06.06

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2024年秋冬PEST分析から予測する生活者の消費変化とビジネスチャンスの予測

2024年秋冬PEST分析から予測する生活者の消費変化とビジネスチャンスの予測

現代の社会・経済は、目まぐるしく変化しています。また、その変化が生活者一人ひとりの価値観や行動、マインドを大きく変えます。時事・情勢・世の中の空気感が急速に変化することが当たり前となったこの時代、生活者の価値観や行動の変容を先読みすることが重要になっています。本記事では、2024年秋冬の生活者の行動予測と、環境与件を読み解いていく重要性に関してご紹介します。

環境与件を読み解く重要性

生活者の行動を変化させる要因は、気候や天候といった日々の変化から、法改正や商品の値上げといった社会的な要因までさまざまです。予測しにくいものもありますが、社会の変化は、予定されていることや予測されていることを丁寧に把握することで、将来の生活の変化をある程度予測することが可能です。生活者の行動変容を先読みするためには、これから起きる事象を整理し、影響を予測、影響の先の生活者の意識・行動がどのように変わっていくのか考えていくことが重要になります 。
そこで今回は、2024年秋冬に焦点を当て、PEST分析を行ない生活者の行動変容に与えそうな事象と、影響について予測していきたいと思います。

2024年秋冬の行動変化のポイントをPEST分析で整理する

ここからは2024年秋冬における生活者の消費行動に影響を与えそうな環境要因を、政治・経済・社会・技術のPESTの視点から考察していきます。2024年下期に起こりうる出来事と、それが生活者の行動にどう影響するかを想像しながら読み進めてみてください。

P(政治):定額減税の導入による消費行動への影響

物価高の上昇による家計の負担軽減を目的に2024年の6月以降に支払われる給与から所得税・住民税の定額減税が適応されます。定額減税の対象者は納税者及び扶養家族(年収2000万円超えは対象外)になります。


■定額減税対応

2023年12月に弊社で調査した定額減税による消費意欲に関しては、「消費意欲が高まらない」が50.9%、「消費意欲が高まる」が17.2%という回答結果となりました。そのため、政治与件としての定額減税は、、生活者の生活を下支えする要因になることは想定されますが、消費意欲向上には一定程度の効果に留まることが推測されます。


■定額減税が施行された際の消費意欲

E(経済):生活者の消費に繋がる雇用者報酬に注目

2024年の春闘では人手不足への対応、物価上昇を配慮して積極的な賃上げに踏み切る企業が多い結果となっています。日本労働組合総連合会による発表では、平均して「15,616円(5.17%)」の賃上げとなりました。2023年は「10,923円(3.67%)」のため、昨年対比 4,693 円増・1.50 ポイント増と、2023年の実績を上回る伸び率です。
これらの傾向から、経済与件としてあげられる消費動向としては、春闘による月例賃金の上昇によって、2024年秋冬に向かって実質賃金の前年比プラスが想定され、徐々に消費が上向きになることが期待されます。そのため、2024年秋冬に向かって、生活者がどのようなことに消費をしたいと感じそうかを予測していくことが、重要なポイントの1つとなりそうです。


■春闘での賃金変化と賃上げ率の推移

S(社会):家計の見込みは悪いが、マーケットチャンスは日常の中の「ハレ」

弊社の生活者動向調査にて、現在の家計状況と半年後の家計の見込みを聞いてみたところ、半年後の家計の見込みに関して「良い+やや良い」は現在から半年にかけて0.8ポイントほど上がり微増。一方で「やや悪い+悪い」に関しても、2.6ポイント増となり、家計に関しては期待と不安が混在していることがわかります。


■現在の家計の状況と、半年後の家計の見込み(%)※2023年11月-12月時点

次に生活者の消費意欲を見てみると、チャンスになるポイントがあります。それは「毎日の食事」や「自分へのご褒美」「記念日などの特別な日」を彩る商品やサービス、「家族の絆を深めるためのモノ・コト・時間」への消費は、物価上昇や光熱費の高騰があっても、お金をかけている生活者が増えている点です。そのため、生活者の消費を刺激する上では「普段の食事」「ご褒美」「家族時間」といった、何気ない日常の中でのハレ感演出が重要になってくると考えられます。


■昨今、物価や光熱費が高騰し続けていますが、この状況下でもあなたがお金をかけていること

T(技術):生成AIの新たな活用方法に注目

技術の面では、生成AIの活用範囲に拡がりみられる点に注目です。生成AIというと業務の効率化や思考時間の短縮化といった業務の補助での活用が注目されてきましたが、最近では生活者とのコミュニケーションツールとしての活用の幅が広がっています。
具体的には生成AIで生活者の日常の会話などを分析し、マッピングなどを行ない、その傾向に合わせて、接客、商品パッケージや商品を作るといった活用です。AIを業務の効率化の手段として使うことからエンターテイメントや生活者との1to1コミュニケーションツールとしての手段には今後も注目です。


■AIの活用イメージ

PEST分析を通して2024年秋冬の市場を俯瞰する

前章 で紹介した生活者の生活・くらしに変化を与える2024年の秋冬のPEST事象をまとめると下の図のようになります。

2024年秋冬PEST分析のポイントは、政治や経済面で生活者の収入を確保し、消費を促す動きがあるも、消費を大きく拡大させるほどの起爆剤となり得るのは難しそうであるという点です。
一方で、兆しとしては、足元の家計不安・物価高騰などがある中でも、日常生活において家族交流の深化や、小さなハレを追求したい気持ちが伺える点が2024年秋冬のチャンスマインドとなります。また、生成AIによる業務効率化という目的以外の、生活者とのコミュニケーション機会の創出動向にも注目です。

チャンスマインドから導く2024年秋冬消費キーワード

生活者を取り巻く環境から、消費に関しては賃金があがる期待感と、継続する家計逼迫の不安が入り混じるマインドが継続することが予測されます。そのようなストレスを抱える中でも、日常生活において背伸びせず「ハレ」需要を取り入れ、暮らしに適した商品、つまり自分や家族のウェルビーイングに貢献できるモノ・サービスを生活者は追求したいという、マインドが強まっていくことが推測されます。そのようなマインドを汲み、どのような生活者行動や消費が起きるかを考えると、消費意欲に関して前向き基調とは言いきれない中でも、誰かと過ごす時間(食事やレジャー)には消費を厭わないという行動が高まると考えられそうです。
以上より、2024年秋冬の消費キーワードのひとつとして「賑わい消費」と予測します。

おわりにー PEST分析に基づくマーケットへの洞察

2024年の秋冬に予定される政治経済の動きや、生活者の意識変化の兆しについて、PEST分析により、生活者の行動変容の先読みが可能になります。
また、行動変容から消費キーワード を予測できれば、生活者に対してどのようなコミュニケーションをとればいいのか、どのような商品が受け入れられやすいのかを想像することが可能になることを想像いただけたのではないでしょうか。

本記事で紹介した内容をまとめた無料レポートを準備しております。ご希望の方は、最下にあるフォームからお申込みください。また、今回ご紹介した「賑わい消費」に加え2024年秋冬のポイントとなる6つの消費トレンドキーワードをまとめた「2024年秋冬消費者インサイト予測資料」を作成しております。ご興味がある方は、資料のご紹介を承っておりますので、下記フォームよりお申し込みください。その他、こうした環境分析や生活者の分析を踏まえた販促・販売計画の立案、マーケティング・プロモーション戦略立案に関してご相談や問い合わせ等ありましたら、お気軽にご相談ください。

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