2023.05.31
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PEST分析で予測!2023年秋冬の消費トレンドキーワードとは
ポストコロナフェーズへの移行は着実に進んでいます。2023年5月より新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行し、生活者の意識・行動が変化する節目を迎え、生活者の行動範囲は拡大しています。しかし、昨年から続く物価高は消費モチベーションにおけるマイナス要因として立ちはだかっています。今後、生活者の消費はどのように変わっていくのでしょうか。
このような様々な要因が混在する未来を予測するには、PEST分析の視点で環境与件を整理し、生活者の消費意識を予測することが大切です。
本記事ではPEST分析を用いて予測した2023年秋冬の消費キーワードをご紹介いたします。
2023年秋冬PEST分析
P(Politics:政治的要因)
2023年10月1日、酒税法が改正されます。酒税法改正は20年10月から3段階での実施です。23年10月は2段階目であり、ビール、清酒が減税、新ジャンル、果実酒(ワイン)は増税となります。酒税改正は、お酒やお酒関連の消費モチベーションに変化を起こすでしょう。改正前後で整理します。
【改正前】
増税となる新ジャンル、果実酒(ワイン)は駆け込み需要が高まり、減税となるビール、清酒は購入が控えられると予測されます。
【改正後】
減税となるビール、清酒の需要が高まるでしょう。大手ビールメーカーではビールの税率が下がることで需要があると見込んで、販売を強化するという方針を打ち出しています。主力商品やクラフトビールのリニューアル、新商品などが注目されます。
新商品などが話題となり、お酒が注目されることで、お酒とともに楽しむ食事に関するモチベーションが高まる機会になると考えます。
E(Economy:経済的要因)
ポストコロナフェーズが本格化し経済活動が拡大するなか、消費モチベーションに水を差しているのが、物価の上昇です。23年に入ってやや落ち着く兆しはあるものの、高止まりとなっています。23年の春闘賃上げ率は高水準となり、名目賃金(実際に受け取る給与)の上昇が期待されますが、実質賃金(物価変動の影響を除いて算出)と消費者物価の差はまだ開いています。賃金の伸びが物価上昇に追いついていない状況といえます。
ただし消費者物価指数の鈍化が継続すれば、23年の秋冬頃には実質賃金上昇率がプラスに転じる可能性も考えられます。つまり物価高が緩やかになり、賃金アップへの期待もありますが、生活実感上では生活者の財布の紐は固く、節約志向は継続しそうです。
S(Society:社会的要因)
食料品において、価格が上がっても買い続けるものにはどのような特徴があるかを聞いた調査では、「健康によいこと」が4割、「その季節でしか食べられない、旬であること」が3割強で上位にあがりました。次いで「時短であること」、「ロングセラーなど馴染みがあること」、「美容・ダイエットによいこと」が続きます。また、3割強の人は価格を重視していますが、7割弱の人は価格以外の価値を重視しているといえます。
価格だけでないライフスタイルを重視した価値を提供することは、消費モチベーションアップを後押しする重要な要素となるでしょう。
T(Technology:技術的要因)
AIを活用した商品やサービス選択のパーソナライズ化が進んでいます。一人一人の属性や購買、行動履歴に基づいて最適な情報が企業から提供され、顧客はより自分に最適な商品が選べるようになりつつあります。健康や美容、運動などユーザーの目標に合わせて栄養素を最適化し食事をサポートするサービスやAIとプロのスタイリストがスタイリングした商品を定期的に届けるサービスなどです。ユーザーからのフィードバックデータを蓄積することで、顧客の好みやセンスの理解を深め、相性のよい商品やサービスを提供する仕組みです。
企業と顧客の双方向デジタルコミュニケーションによる自分に最適な商品やサービスの選択肢の広がりは、消費モチベーションを高める要因として重要性を増すでしょう。
PEST分析からみる23年秋冬生活者消費キーワード
23年秋冬は、ポストコロナのフェーズになってから初めての秋冬シーズンとなります。消費モチベーションにおいて新型コロナウイルス感染症という妨げは取り除かれましたが、物価高はまだ残るといえます。そのため生活者の節約志向は大きな流れとして存在する一方、自分のライフスタイルに合ったものには積極的に支出するメリハリ傾向がより顕在化していくと推測します。
このような時期には、節約意識は持ちつつも取捨選択を明確にして、自分の好きなもの、自分に合ったライフスタイルを優先する消費が注目です。我慢する節約ではない、ポジィティブな節約スタイルといえます。取捨選択には、法改正やイベントなど消費モチベーションが高まるタイミングをとらえることも重要になるでしょう。
以上のことから、23年秋冬の生活者消費キーワードは以下のようになると考えます。
おわりに
PEST分析の視点を用いて、23年秋冬シーズンの消費キーワードを提示いたしました。PEST分析の視点はひとつひとつの事象を俯瞰して見たときに着目できること・注目すべきことは何か?を考え、重点的にとらえるべきポイントの明確化を行うのには有効なフレームワークです。
今回ご紹介した「ポジティブ節約」は、物価高を背景にしながらも自分の好きなものには積極的に支出するという消費のスタイルを表現しています。
ポストコロナのフェーズが本格化するなか、社会の変化をとらえ、生活者のインサイトをつかむことが重要です。クレオでは、23年秋冬シーズンの視点で注目キーワードを5つご提案しています。23年秋冬のマーケティング戦略や販促計画を検討される皆様にとってのヒントとなれば幸いです。
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出典:(株) クレオ 「2023年秋冬消費者インサイト予測資料」
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(株) クレオ「2023年秋冬消費者インサイト予測資料」を加工して作成
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