2022.09.21
生活者研究
時事・トレンド
食品の値上げの影響による年代別買い物行動変化をみる ~値上げに関する意識・行動調査~
相次ぐ食品の値上げが続いていますが、買い物行動の変化は起きているのでしょうか?
そこで、クレオでは値上げに関する意識・行動調査を実施致しました。2022年の春から夏にかけての食品の買い物行動変化について、年代別に見ていきたいと思います。
食品の値上げが加速中
まず、「生鮮食品を除いた食料」の消費者物価指数(前年同月比・全国、以下同様)を確認すると、右肩上がりで増加傾向にあり、2022年7月には3.7%に達しました。次に「生鮮食品を除いた総合※1」の消費者物価指数をみると、2022年7月は2.4%となりました。「生鮮食品を除いた総合」も高い増加率ですが、それよりも更に「生鮮食品を除いた食料」が高く、食品の値上げ状況がいかに顕著であるかが分かります。また、食品の中でも、特に「油脂・調味料」「穀類」「菓子類」「調理食品」では7月の前年同月比で4%以上となっています(図表2)。原材料の小麦や油脂の高騰が、幅広い食品の値上げ要因になっていると考えられます。
※1:生鮮食品を除いた対象全てで算出。
食品の買い物行動に変化はあったのか?
このように食品の値上げが継続している中、買い物行動に変化があったかどうかを確認しました。こちらは2022年7月末~8月上旬に、直近3カ月の買い物行動で変化したことについて聴取しています。
まず、直近3カ月で買い物行動に変化があった人の割合を年代別に見ていきます(図表3)。
食品購入者のうち、買い物行動において変化した人の割合は全ての年代で7割以上となりました。特に20代では86.4%と非常に高くなっています。
次にどのような変化があったかを見ていきます。年代別で次のような特徴がありました。 (図表4)。
●20代
「セール品や特売品など価格が低い商品を中心に買うようになった」が1位、「アプリのクーポンを確認するようになった・確認することが増えた」が2位となりました。
1位・2位ともに購入価格を低くする項目が上がってきていることから、低価格商品を中心に買う行動へ変化していることが分かります。また、アプリクーポンを利用するようになった人の割合が多いのは20代ならではの特徴です。
20代はTwitterやInstagramなどでの情報取得が多い年代ではありますが、今の時期に、アプリ会員化・アプリ利用の習慣化させるチャンスとも言えそうです。
●30代~50代
この年代は1位・2位どちらかに「購入するものを厳選するようになった」「セール品や特売品など価格が低い商品を中心に買うようになった」が入っています。
そのため、価格訴求も大事ですが、加えて価値訴求(食べる・使うメリットなど、購入後のパフォーマンスを伝える)もポイントになりそうです。
また、もう少し深堀すると、30代は3位に「まとめ買いするようになった」がランクインし、他の年代より高くなりました。30代は、食べ盛りの小学生がいる家庭が多く「まとめ買い」による価格メリットを感じている人も多そうです。そのため、価値訴求に加えて、まとめ買いの利便性(配送サービス、日持ちがよい商品・大容量商品の提案など)の訴求もよさそうです。
●60代・70代
60代・70代のシニア層は「買い物に行く回数を減らすようになった」がトップになりました。本来スーパーにおいて最も来店頻度が高い層ですが、新型コロナウイルス感染対策だけでなく、物価高対策の要因も加わり、買い物頻度を抑える傾向にあるようです。2位は「事前に購入品を考えて計画購入するようになった」となっています。来店前に購入品を決める計画購買に変化した人の割合が他の年代よりも多くなります。
そのため、特にこの年代には、チラシが更に有効なコミュニケーションになると考えられます。その他、計画的にまとめて購入できるような1週間分の献立提案や買い物リストを作成できるツールなどもニーズがありそうです。
おわりに
原材料の値上がりや円安の進行で輸入物価の上昇が続き、食品価格の値上げが続き、その影響を受けた行動変化が見られました。特に年代ごとに異なる行動傾向があり、20代にはお買い得志向、30代~50代には厳選志向(30代はまとめ買いニーズも)、60代・70代には計画購買志向などが挙げられます。それぞれの年代に合わせた多方面のアプローチが求められることになりそうです。
また、今後の見通しについては未だに不確実性が高く、定期的にマクロ情報と生活者動向の両側面から予測を立てていくことが重要です。クレオでは、今後も生活者動向を予測するための調査を定期的に実施し、変化する生活者像を把握していきます。また、このようなエビデンスをもとに、幅広い業種のお客様に対してマーケティング・プロモーション活動の支援を行っています。ご質問・ご相談ございましたら、最下フォームよりお気軽にお問合せ下さい。
無料レポートのご案内
本記事で紹介致しました生活者動向調査のデータを一部レポート形式にて無料で配布しております。最下のフォームからお申し込みください。年代別の詳細の数値データもご覧いただけます。
有料データのご案内
「生活者動向調査」の全データは【有料】にてご購入いただくことが可能です。
単純集計表、クロス集計表(性年代別、エリア別)などを準備しています。
●性年代別
20代男性/30代男性/40代男性/50代男性/60代男性/70代男性
20代女性/30代女性/40代女性/50代女性/60代女性/70代女性
●エリア別
北海道/東北/北関東/南関東/甲信越/北陸/東海/近畿/中国/四国/九州・沖縄
※ただし甲信越・北陸・四国はn=30未満のため参考値
本記事で使用しているデータ以外も含みます。設問内容は以下をご確認ください。
転載・引用に関する注意事項
1、本ページの記事内容、関連する調査の集計結果、レポート等の著作権は、株式会社クレオが保有します。
転載・引用の際は出典を明記ください 。
【出典の記載例】
出典:(株) クレオ 「生活者動向調査」
2、編集、加工などをしてご利用する場合は、上記出典とは別に、編集・加工等を行ったことを記載してください。
【編集・加工等して利用する場合の記載例】
(株) クレオ「生活者動向調査」を加工して作成
3、当記事・当データ・レポートは、正確性、有用性、確実性その他の保証をするものではありません。
当データ・当レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません。