2021.10.29
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2022年のマーケットチャンスをつかむ!2022年注目地域と地域消費マーケット
依然、新型コロナウイルスは予断を許さない状況ではあるものの、ワクチン接種の進行や感染者数の減少による行動制限緩和や、ワクチン接種証明書を活用した動きも出ており、これまで制限・抑圧されてきた状況から解放されることで、いわゆる“リリース消費”が行われ、これまで低迷してきた地域経済の活性化が期待されます。2022年は国際的なスポーツ大会の国内開催や文化・自治体周年などがありますが、地域に着目して提案に取り組むことが、2022年の地域消費マーケットをつかむ上で重要となります。
株式会社クレオでは、毎年10月に生活者潮流や注目事象、月ごとの生活行動など、販促計画立案に役立つヒントや提案を掲載したマーケティングブック『生活行動カレンダー』を発行しております。
当記事では、2021年10月1日(金)に発行いたしました『‘22生活行動カレンダー』より、地域に関連する注目事象と、関連するマーケットチャンスについてご紹介いたします。是非、年間販促や自社に関係する地域の販促活動にお役立てください。
【1】2022年の注目地域
まず、スポーツ関連の注目地域について触れていきたいと思います。2022年は国内で国際的なスポーツ大会として、5月~6月頭にかけては九州地域を中心に開催される「FINA世界水泳選手権2022福岡大会」「FINA世界マスターズ水泳選手権2022九州大会」があります。
2021年は、新型コロナウイルスの影響で東京五輪の開催が延期になったことで「世界水泳」は1年間の延期・日程変更となり、2022年での国内開催の予定となっています。選手の応援などで気分が盛り上がり、スポーツや観戦に関連したマーケットの拡大だけでなく、旅行・観光需要の盛り上がりや、注目地域に関連した物産展やオンラインでのお取り寄せ需要など、地域に関連した消費のモチベーションを高める機会となりそうです。
次に、文化・自治体関連の注目地域について触れていきます。最も注目すべき事象は、2022年5月15日の沖縄本土復帰50周年です。それに合わせ、2022年春頃に放映されるNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」は、やんばる地方に生まれ育った主人公が、本土復帰の年の1972年に上京し、沖縄料理店を開くために奮闘する物語であることから、沖縄県への関心が高まりそうです。
また、2022年は宮城県、愛知県が県制/県政150周年となり、県と企業が連携したイベント開催での盛り上がりが予測されます。
その他、神奈川県では鎌倉エリアに関連しNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が1月から放送されるほか、香川県・岡山県の瀬戸内海の島々では春・夏・秋の計105日間に「瀬戸内国際芸術祭2022」が実施予定、九州エリアでは、対馬で4月に「対馬博物館」が開館予定、秋頃には、武雄温泉・長崎間で西九州新幹線が開業予定です。
【2】2022年は観光需要回復に期待
2022年は県をまたいだ移動回復、地域経済活性化に期待
次に、注目地域における観光需要について現時点で検討・発表されている新型コロナウイルス関連事象を踏まえた上で触れていきます。
2021年10月~11月にワクチン希望者に対する接種が完了となり、感染者数も大幅に減少しています。10月からは行動制限緩和に向け、政府はワクチン接種証明書や陰性証明書を活用した「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験も本格的に始まっています。北海道・大阪・兵庫・福岡など13自治体が参加し、飲食店やライブハウス、大規模イベントのほか、旅行会社やホテル・旅館でも実施されています。
政府は、希望者に対するワクチン接種完了を見込む11月以降、接種証明または陰性証明提示を条件にした行動緩和を本格化させていく方針で、感染リスクや証明確認などのチェック体制、施設運営への影響などの実証実験での検証結果を踏まえて、感染対策と経済の両立に向けた仕組みづくりをしていく考えです。2022年1月~2月にピークが来ると試算が出ている“冬の第6波”への懸念もありますが、今後感染が再拡大して緊急事態宣言が発令される場合でも、接種証明書や陰性証明書を活用し、飲食店の酒提供やイベントでの人数制限緩和、都道府県境を超えた旅行などを容認していく方針が検討されています。
また、GoToトラベル事業に関しても「ワクチン・検査パッケージ」を活用した「GoTo2.0」を打ち出し、感染症対策を進化させた新GoToトラベル事業として再開が進められる見通しです。再開時期について政府は年内の再開に慎重な姿勢も見せていることから、再開は2022年になる可能性も考えられます。
こうした行動制限緩和に向けた動きから、2022年は県をまたいだ移動を伴う国内旅行など、移動が復活していくことが予測されます。今後、3回目のワクチン接種や経口治療薬の開発・承認が進むことも考えられ、2022年はイベントの開催のみならず、県をまたいだ移動回復により、低迷した地域経済の活性機会となることが期待されます。
地域に訪れた人に対しては、お店・企業がつながり、地域ぐるみで地元の魅力や文化等をアピールすることが重要となります。県外からの来訪者に対し、地域文化や食べ物、地元の名産品などの魅力を発信することで、地域での文化体験や宿泊、お土産購入などの行動が期待され、消費活性化が見込まれます。
また、引き続き移動を控える方や行くことが出来ない方に対してや、連休以外の日常においては、各注目地域の文化や食べ物、名産品への注目の高まりに関連付け、物産展やアンテナショップの展開、EC販売などの展開や、各地域にゆかりがある料理のレシピ提案が販売促進のポイントとなります。
行動制限緩和で、感染リスク軽減対応×販促が今後のカギとなる
新型コロナウイルスへの感染リスクは継続するため、行動制限緩和後も感染リスク軽減の対応との両立が必須になります。政府が9月9日に発表した「新型コロナワクチン接種証明の利用に関する基本的考え方について」では、「店舗への入店や会場への入場に当たって接種証明の提示を求めることも可能」とし、活用例として「商品の割引やおまけの提供」などの一定のメリット提供を挙げ、社会経済活動の正常化に向けて、接種証明の国内での積極活用の考えを示しました。また、ワクチンを受けていない方、受けられない方への差別や偏見に繋がらないよう、接種証明に加え、陰性証明書の活用も併せて行うことが重要となります。
今後、行動制限緩和が加速していけば、接種証明や陰性証明の提示を義務付ける店舗やイベント等も多く登場することが予測されます。接種証明や陰性証明は、感染拡大リスク軽減としてはもちろん、生活者にとっても、県をまたぐ移動や帰省・旅行における罪悪感や差別緩和に繋がりそうです。
【3】2022年は地元消費活発化にも注目
【2】では行動制限緩和の動きと県をまたいだ移動回復について触れてきましたが、次に、地元での消費活発化について触れていきます。
新型コロナウイルス感染拡大や働き方改革による在宅勤務の普及に伴い、職住が融合する流れが生まれ、自宅を起点にした行動が増加しています。例えば、自分の住む街のプロジェクトに参加して地元の課題解決や活性化へ取り組む動きも広がっており、地元との関係が深まるとともに愛着を持つ人が増え、地元でのコミュニケーションや共創の輪が広がっています。こうした居住地(地元)に密着した消費が活発化していくことを、当社では“ジモトケーション”(地元+コミュニケーション+ロケーション)と潮流キーワード化しています。
ワンマイルレジャーやマイクロツーリズムなど、近距離旅行を楽しむ動きも広がっています。居住地と同じ地域内を目的とした宿泊旅行の3か年推移では、コロナ禍の2020年は各地域で近距離旅行が増加し、特に、北海道、東北、四国、沖縄の割合が高くなっています。感染拡大による移動の自粛が影響しているといえますが、地元や身近な地域の見直しや興味を持つ機会になったと言えます。
2021年10月にGoToトラベル再開までの間の代替として、「地域観光事業支援」(県民割)が再開されていますが、再開後の現在や停止前の好調ぶりを見ても、地域消費のさらなる活性化が期待できそうです。
企業と地元が連携した事例として、2021年に県政150年を迎えた埼玉県が挙げられます。周年事業パートナーは200社を超え、県と企業などがコラボレーションしたイベントや商品で盛り上がりました。NHK大河ドラマ「青天を衝け」では、深谷市で生まれた「近代日本経済の父」渋沢栄一が主人公として取り上げられたことも注目が集まった要因として大きいと想定されます。
2022年は宮城・愛知で県制/県政150周年、沖縄県が本土復帰50周年となります。また、沖縄県は、NHK連続テレビ小説においても沖縄を舞台にしたストーリーであることから、沖縄に関連したマーケットにも注目が集まりそうです。
地元を軸に、生活者、お店、企業がつながり、歴史や文化等の魅力を知る機会をつくるほか、地元商品や地元産の食材・特産品などをアピール・コラボレーション実施など、生活者と地域との関わりを深め“地元らしさ”を打ち出した提案により、地元への愛着を形成し地域消費を活性化することが重要となります。
おわりに
2022年は新型コロナウイルスの収束が見えてくれば、日本各地への県をまたいだ移動や観光マーケットが広がりそうですね。年間計画や販促計画立案において、地域消費のマーケットチャンス・ニーズを把握し、消費機会を捉えた提案にしていきましょう。
2022年に国内開催されるスポーツ大会や、文化・自治体周年など地域に関連した事象の詳細や新型コロナウイルスの動向・今後の意向については、2021年10月1日(金)に発行いたしました『‘22生活行動カレンダー』にて詳細を掲載しております。販促計画立案や提案活動の一助になると思いますので、是非ご購入をご検討いただけますと幸いです。
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出典:(株)クレオ 生活行動研究室「2022年の注目地域」
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最終更新日:2021年12月28日