09
August
2013

WEBで読める! 最新SP講座

企業や店舗の「らしさ」についてを考えて、スキルを見える化する。

「選ばれて 行きたくなる店」「選ばれて 使い続けたい商品」 流通小売業や事業会社(メーカー)におけるマーケティングのゴール・本質は「選ばれて行きたくなる店」「選ばれて使い続けたい商品」 。 では、「行きたくなる店」とはどんな店か?商品の陳列がよく買いやすい売り場、商品の品揃えが豊富で自分にあった商品がある、住んでいる家から近いなど、条件面の答えが並ぶ中で「あのお店はいつ行っても雰囲気が良い」や「会いたいと思う店員さんがいる」といった気分をそそることが大きく影響をしていることに気付きます。懸賞企画やセールス・キャンペーンの投下やVMDの駆使や、一部の店員やスタッフのスキルに頼ることではなくて、「そのお店に行きたい」と感じる気持ちへの発火やシンパシーや情緒のようなもの、これらをその企業や店舗の仕組みとして機能をさせてつないでいけば、そこに<新しい効果や価値>が生まれてきます。今回、その方法と手順について3つのSTEPとして捉えてみました。

選ばれる店・商品への3つのSTEP

STEP1 企業やお店の「らしさ」を考えて整理する まずは、その企業や店舗の理念や行動規範の整理からはじめます。自分たちのビジョンやミッション、顧客への姿勢と言った「自分たちが何ものであるか」を企業で働く各自が意識をして整理をすることから取り組みます。 STEP2 「誰が」キチンとそれらを伝えられるかを明確にする 企業や店舗において、顧客に価値を伝えられる高いスキルを持つものであれば、そのものにしか与えられない役割や責任があります。 また、スキルの違いを明確にすることは、自分自身の中にチャレンジの気持ちを持つことになります。そして、その違いは誰もがすぐに 分かるようにマークやエンブレムなどとして可視化します。 STEP3 来店・購買こそが本質的な目的であることを忘れない 顧客に(情報を)知らせて、つぶやいてもらうことが最終の目的ではなく「来店や売上げ」につなげることにこだわります。顧客が店舗に足を運んでワクワクするものを感じてもらうための仕掛けづくりとして「顧客満足」と、それを成し遂げようとする「企業で働くものの満足」の両面が大切です。  
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130万人の従業員が読むウォルマート・ワールドの表紙
上記の3つのポイントをさらに力強く推進するために 企業で働く人の想いを捉える際、また買い物をする顧客を捉える際においても、必ず「インサイト」を掴むことが大切です。 また、課題の解決において、ゲーミフィケーションと呼ばれる「楽しみながら継続、工夫をする意識」も必要です。社内の活動であれば、ゲーミフィケーションとインナー向けのメディアの活用がポイントになります。アメリカのウォルマートは、「ウォルマート・ワールド」と言うアメコミ風表紙の社内報で130万人の従業員のモチベーションや意識を高めるために情報発信をしています。また、社外であればゲーミフィケーションとオウンドメディア、そしてソーシャルメディアの活用を考えます。近年はこのオウンドメディアの重要性について言われています。 「使い続けたい商品」になるための価値付け 顧客志向を徹底するには「どうしたら顧客の暮らしをより良いものでできるか」を考え抜くことが大切です。顧客や買い物客の本音を追求しながら、同時にその商品が顧客に提供できる価値を見つけて展開していく必要があります。その為には、商品を開発する事業会社(メーカー)も、販売をする流通小売業も、そこに関わる人すべてを巻き込んでつなげる方法が必要です。これには協働やワークショップのスタイル(“プロモーション・ポンプ“というワークスタイルを活用しています)が高い効果を期待できます。小売業にしても事業会社にしても、どちらか片方だけの理論では通じなくなってきており、買い物客や小売業のインサイト・売り場における課題・コミュニティの形成・運用の方法についてそれぞれが同じ土俵で考えることが重要になります。 CASE STUDY  ユナイテッドアローズの取り組み インナーの取り組みと買い物客への仕組みづくりは、その企業の”らしさ”をつくる最適な方法と言えます。これをCASE STUDYとしてユナイテッドアローズの「UNITED 世界を変えるARROWS」から見てみます。テーマは、同社が創業時から抱き続けてきた理念「お店はお客様のためにある」を全国33店舗、540名を超える販売員(店舗数、販売員数は展開時の2102年の数値)が、情熱的な接客を体現するというもの。自社のウェブサイトで企画の内容を案内、店頭では販売員が来店されたお客様の世界を10分の接客で変えるイベント。「UA TRANSFORM SHOW」として、販売員は胸にオレンジ色の「情熱接客バッジ」を付け、来店されたお客様に声を掛けられると、そのお客様に様々な質問をして、その人の世界感を変えるようなスタイリングを提案。 そして ● スタイリング後の様子を撮影 ● お客様の承認が得られれば店舗のウェブサイトに掲載 ● 参加されたお客様には雑誌「GINZA」編集部と制作したオリジナルスタイリングブック「UA KNOWS THE BEST」をプレゼント。 ● さらに1万円以上のお買い物をすると10%割引のとなるクーポン券を提供。 また、ここからがもうひとつのポイントで、ウェブサイトに掲載されたスタイリング後の写真を「プロのスタイリストが評価」、また掲載された写真の点数についても評価し(店舗間でも競います)、社内にて表彰や案内をするといった施策も行ないました。結果、この企画の目標としていた売上げ、集客数などすべての面で設定をしていた数値をクリアしたとのこと。UAでは「何よりも、販売員や社員が、お客様に喜んでもらえることでユナイテッドアローズの一員としての仕事のやりがいや価値を再認識したことが大きな成果であった」と効果を判断しています。これらはユナイテッドアローズ戦略部ご担当者より伺いました。
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2種類のバッジを用意。バッジには2つの意味を持たせる。
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買い物をするお客様とインナー(販売員)への2通りの仕組みで展開。
店舗や商品を捉えた「付加価値づくり」のまとめ これらのキャンペーンから分かる通り、「仕組みと情熱的な姿勢」を顧客の目に見えるツールにするというのは、「新しい価値が加わる」ことではありません。あくまで、その企業の理念や販売員・社員のスキルを見える化することで、これまであった価値がより顧客に伝わるようになったに過ぎません。新しい価値とは何か?どうやってつくるか?ばかり考えるのではなく、「自分たちの特徴や他との違いは何か」「今伝わっていない要素がないか」を考え、見える化します。それが、顧客の「また行きたい」「商品を使い続けたい」という想いや行動を喚起できることを知ることも大切です。CASE STUDYとしてアパレル・セレクトショップのユナイテッドアローズを取り上げましたが、企業は他の業種、店舗は他の業態(食品でも、ドラッグでも、スポーツでも)にとっても価値づけとしての考え方は必ず共通点があると感じます。 上記は「販促会議」(2013年9月号:特集企画/消費増税への処方箋)に掲載した記事を元に、当コラム用に加筆しました。     ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。]]>