21
June
2013

WEBで読める! 最新SP講座

ネットとリアル(店舗)の融合が言われる時代、これからの販売促進について考える。

ネットとリアル店舗について。 「ネットを制するものは、今後リアルを制す」これは、国内小売業ナンバーワンの、株式会社セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長の言葉です。同社では、現在「ネットと現実(リアル)店舗の融合」をテーマに新しい企業体に向けて再構築をはじめました。セブン&アイHLDGS.は(2012年)売上で5兆円近い日本最大規模の小売りグループ。同年2月期決算で発表された営業利益は前期比約20%増の2920億円と<過去最高>の黒字を記録しました。日本が緩やかな景気の回復と報道される中で、この利益はまだまだ他の小売業では見られない実績です。自動車のトヨタは同年さらに圧倒的な営業利益(1.8兆円)を生み出しましたが。 日本の小売業のリーディングカンパニーとしての、その位置を築いたセブン&アイ・ホールディングス巨大事業体が「ネットとリアル店舗の融合」と発表する内容に、同業界に限らずに非常に関心が高まっています。ここで言われる「ネット」は決して従来の「ネットショッピング」や「Eコマース」と言った領域に限らずに「ネットにつながる全ての人を捉えて、新しいショッピングを実現すること」として、例えば近年のマーケティングのキーワードと言われる「Online to Offline(O2O)」についても、購買行動とネットが強力に連携し合う、この新しいスタイルの代表的なモノです。(以下、『020新・消費革命』松浦由美子 参照)セブン&アイHLDGS.では、今3つの戦略として具体的な取り組みを示しています。まずは、リアル店舗との共同販促。セブン‐イレブン、そごう・西武・イトーヨーカドー、デニーズによる共同企画としてバレンタインを始めとした大型歳時企画の販売促進に取り組んでいます。また、次にネット事業の1本化として、グループそれぞれの持つネット通販をひとつに集約することにあります。そして、3つ目として「リアル店舗の販促の連携」と「ネット通販の1本化」をつなぐ役割として「セブンスポット(Wi-Fiにより相互接続が保障されているアクセスポイントの創造)の強化」が挙げられます。

これらの背景にあるもの。

日本の小売業の市場規模は約132兆円(これは過去5年ほぼ横ばい)と言われ、その内ネット通販による売上は約10兆円程度、そしてインターネットにより喚起された(O2Oの影響による消費規模)売上げは、この132兆円のうち実に21兆8千億円と言われています。(数字は全て野村総合研究所「インターネット経済調査報告書) この数字と合わせて、注意するデータの捉え方に「携帯端末の普及率」があります。「どの様な人たちが、実際に携帯端末を使って買い物の際に、それを利用しているか?」ワイヤレス領域を専門に取り組む広告代理店の株式会社D2C(本社:港区)の発表では、携帯端末の世代別の利用状況を見ても、小売店での買い物をされる中心層(40代から50代の女性)の普及率は10%以下と決して高いものではありません。但し、これからの10年を捉えた場合、携帯端末の普及率は上がり、オーバーストアや小売業の上位企業への売上の集中、様々なシステムやサービスの向上などから、こうしたネットのリアル店舗での買い物の影響は益々高まることは間違いないと思います。 今後もネットの機能が、リアル店舗の売上げや集客に効果や影響を与える中で、これからの「販売促進」をどう捉えたら良いか?まずは、リアル店舗での課題をあらためて見直します。この際に、売り場の展開の様子やテーマを知ることも大切ですが、その企業の戦略や小売業のマーケティングの目標を念頭に置き、その反映度や達成度を見ることが良いと思います。その上で、ネットの年代別の普及率(スマートフォンの現在の普及は約40% 2014年末にはスマートフォン契約数が過半数を超えると予想 MM総研調査)など周辺の状況を知りながら、リアル店舗と事業会社(メーカー)がいっしょに行なえることを、短期的なものと中期的なものに分けて捉え直す必要があります。特にO2Oなどシステムを活用する取り組みは費用対効果(KPI)の面から計画的な捉え方が必須になります。従来、販売促進を考える際には、店頭や買い物客のインサイトが重視されて来ました。これからの時代は、ネットをはじめとした新しい機能と、その企業全体の課題や戦略も意識をして捉える、そんなことが販売促進に取組む上で今以上に求められてくると強く感じます。 図1図2 写真左は、デジタルサーネージ(米国ウォルマートでの展開)。商品の特徴や価格の紹介と合わせて自店の会員カードの入会サービスを紹介。写真右は米国の百貨店メイシーズの売場に設置されたPOPに携帯端末で読み取るQRコードを掲出(写真の星型のマークがそうです)端末をかざしてアプリを立ち上げるとお薦め商品や事前に登録していたお客様情報に合わせてパーソナル情報や様々なサービスが受けられます。 (撮影:2012年 市川)     ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。]]>