27
December
2013

WEBで読める! 最新SP講座

2013年のプロモーションを振り返ることで、次の課題をつかむ。

日本の販売促進の取り組みはこれからどうなるのか? 「2013年のプロモーションを振り返って」 毎年12月に、その年に行われた様々なプロモーション(ユーザー向けやリテール向け他)の展開から、プランナーやマーケターの視点で、最も印象に残ったものをピックアップしています。 広告やコピーについては年間で選ばれる「大賞」「グランプリ」のようなものはありますが、販売促進やマーケティング活動の領域では、それに該当するものが見当たりません。今回は、対象にする業種や業態を広げて(百貨店・量販店・専門店等の販売チャネルの他に、メーカーやサービス業なども含め)2013年企業の様々な課題への取り組みとして、集客や売上げアップと言った効果が期待出来た「事例」をいくつか紹介します。 まずは、2013年のプロモーションの潮流について。 2012年の後半からソーシャル・メディアを活用した企画やオンライン・ツー・オフライン(リアル店舗とネットによる相互送客)のように、店舗や施設などリアルな売り場での展開に限らない事例が目に付きました。 ツイッターやフェイスブックなどのSNSを活用することでコミュニケーションを強化したり、購買への働きかけをより 意識したスマートデバイスのアプリケーションなどの開発が進みました(米国で最も利用されているアプリは流通 小売業の開発・提供するもので、アプリ全体の約60%を占めています)。 こうした潮流の背景にあるもの。 ●SNSの普及から大量の情報が発信されるようになり、友人や親しい知人の声が情報のフィルターとなっている。 ●ツイッターやフェイスブックを使って、自分の自由意志から常に誰かとつながったコミュニティ環境にある。 ●業種業態に限らずリアル店舗における売上げと集客のダウン(一部ドラッグストアやコンビニエンスストアを除く)。 ●企業における従来型の広告によるアプローチや販売促進の施策についての見直しがされている(費用対効果のあり方)。 購買行動やコミュニティ活動の変化、そして小売業やメーカーを中心に事業会社も含めて様々な課題の発生からも、プロモーションは従来の領域や手法から、舵の取り方を大きく変えようとした1年と言えます。 但し、その船の舳先や向かうべき進路はまだ明確に定まってはいません。 2013年のプロモーションから3つの事例を紹介します。   まず1つ目は 西友 おいしさ総選挙『みなさまの味番付』 2013年の8月から10月まで行われていたこの企画は、一般の消費者の投票により、袋麺やカップ麺、ソフト飲料 や菓子などの商品ジャンルごとに「一番おいしい商品」を決定するというもの。 投票の対象は55ジャンル・325品で、特設サイト上で投票を受け付けました。各ジャンルに選ばれた商品のうち第1~3位を西友のウェブサイトで発表し、10月5日以降、1位に選ばれた商品を全国の西友で「圧倒的な低価格」で販売しました。(チューハイ部門で1位に選ばれたキリン氷結・グレープフルーツ500mlは、2本で300円で販売されていました)以下は、ジャンルで選ばれた商品の一例です。 送投票数87,016票(票数・ランキングは同社ウェブサイトより参照)  ●袋麺部門:第1位 マルちゃん正麺 ●レトルトカレー部門:第1位 銀座カリー ●シチュールー部門:第1位 北海道シチュー  ●スープ部門:クノールカップスープ その他、アイス・炭酸水・チョコレート菓子・食パン部門など設定。 この企画は、日ごろ西友で取り扱う商品に関心を持ってもらい、消費者からの投票結果から「1位に選ばれた商品は圧倒的な低価格」として価格還元される仕組みによって、多くの消費者から支持をされていました。ネットを使用してコミュニティを拡げ、買い物客へは価格の還元、取引先であるメーカーを絡めた立体的な企画と言えます。   また、2つ目はこのWEB講座(8月9日掲載)のテーマでも取り上げました ユナイテッドアローズ   UNITED世界を変えるARROWS 洋服が大好きな全国35店舗584名のセールス・パーソン(店員)が、来店されたお客様に10分間頂いて、接客力と提案力を活かして「お客様に全身コーディネイトを提案」、ファッションの力でお客様の世界を変えることを目指した情熱的な接客。 この企画は2012年にも行われており、全身コーディネイトした写真を(お客様の許可を得て)インスタグラムにて特設 サイトへアップする仕組みでした。 今年はさらにサイトに写真を掲載させて頂いたお客様への謝礼として、お客様に引いて頂く空クジなしの<福引>を用意。 スマートデバイスのタッチパネルで操作するこの福引の景品には、全国のセールス・パーソンと本社スタッフがお薦めする今年らしい洋服や小物、お薦めの雑貨などの商品に加え、ユナイテッドアローズの店舗貸切券や展示会への招待券、その日に使える最大で15%offクーポン等、もっとファッションを好きになって頂ける品を数多く準備しての展開。 お客様への様々な工夫を凝らす一方で、セールスパーソン自身が「自分たちの扱う洋服のあり方」や「接客のあり方」について考えながら行う内容や意識づくりは、これからのマーケティング活動でも大切な要素と感じます。

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ユナイテッドアローズの「情熱接客」このタイトル自体が、企画の目的や自分たちが目指すこと全てを言い切っています。2013年の展開では前年を大きくオーバーした参加者があったそうです。
  最後に紹介するプロモーションは、日本と海外で行われた(ブランドは異なる)文具の事例について紹介します。   ひとつはサインペン50周年を記念した「ぺんてる」の企画です。 「いつか、自分の名前で仕事をする人へ。50周年マイサインプレゼントキャンペーン」 フェイスブックに必要事項を入力して応募すると、抽選で50名様にサイン創作のプロフェッショナル(署名ドットコム)が、あなただけのサインを贈呈する企画でした。 これは、サインペンの周年企画として「サインペンを使用する人のインサイト(いつか、自分の名前でサイン・署名をするような仕事をする、自分の名前で仕事を依頼されるようなプロになる)」をつかんだ内容と思います。 ここ数年、商品の開発、コミュニケーションテーマ、プロモーションの仕組みに活用される「インサイト」。 プロフェッショナルによるサインの創作、これを景品にする事がプロモーションの魅力を一層高めています。 また同じ時期、スペインで「PILOT」の商品広告として、以下の写真の展開がありました。 これもぺんてるの「いつか、自分の名前で~」同様に、ショッパー(買い物をする人)と使い手のインサイトによる表現方法と思います。 おもしろいと思える広告には、1枚の写真や構図から読み取れるストーリー(最近はマーケティング活動において“ストーリテリング”と言う言葉が使われます。 意味は、伝えたいテーマやコンセプトの物語を引用したり、物語として伝えること)を感じます。 小さな子どもを持つママの悩みのひとつに、子どもが“完食”をしないことがあります。 食事の途中で席を立ったり、テレビを見ようとしたり、小さな子どもには完食の為のいくつもの壁が沢山あります。この広告は、そんな子どもに向き合うママのインサイトから表現されたものと思います。 Well done ! Now you can watch TV! Mummy ちゃんと食べられたね! テレビ観てもいいよ。 ママより。
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キャッチコピーにある「いつか、自分の名前で仕事をする人へ。」サインペンを使って仕事をする人のインサイトを捉えた表現とプレゼント企画の考え方。広告主:ぺんてる(日本)
 
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スープを食べ終えた子どもが“完食”して、お皿の底に見るママからのメッセージ。広告の表現は(商品の購買を決める人)そのママの願いや希望を捉えたインサイト。ペンはもちろん油性です。広告主:PILOT(スペイン)
  これら3つのプロモーションの特徴と、これからの取り組みや進め方のポイント。 「消費者の声をシェアして、その結果を価格還元などのサービスにつなげる」 「店員の接客・(洋服の)コーディネイトの内容、店舗間の取り組みを見える化する」 「消費者のインサイトを掘り下げて、広告のテーマやインセンティブに表現する」 これらのケースから、目的やポイントを決めてまっすぐに展開につなげたら、誰にでも(コンシューマやリテール、自社の社員・スタッフも含めて)分りやすく伝わる様な仕組みを作っている点が分かります。 プロモーションの立案から展開まで、現在は「限られた予算の中での最大の効果(費用対効果)」が追求されます。 これからの販売促進における取り組みも、発想のおもしろさやダイナミックな展開を期待しつつ、そこには狙いから 期待する効果までを確かな根拠(マーケティング目標とコンシューマやショッパーのインサイトの発想)を持つ「キチンとした仕組み」を意識した進め方がポイントになります。 私たち代理店は、販売を促進する為の企画をしたり実行すると言った立場よりも(販売促進:この言葉自体、現代に おいては不向きと感じている人も多いかと思います)、企業と一緒になって課題を捉え、情熱を持って、その企業の 力を最大に推進することが最も大切な事と思います。     ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。]]>