14
April
2014

WEBで読める! 最新SP講座

誰の声で、どう薦めるか? 「いいね!」を「行くね!」に変える。

販売促進と「動画(YouTube)のあり方」について。 テレビのビジネス情報番組を見ていた時に、見慣れない言葉が画面に浮かびました。 「ユーチューバー」 YouTuber 英語の表記にした方が、なんとなくイメージやその言葉の意味がつかみ易いです。 暫く番組を見ていると「ユーチューバーとは、YouTubeに定期的に動画をアップしている人を言い、現在様々な企業の商品やその使い方を紹介する事で、企業から報酬を得る人が増えている」と説明されていました。 動画の内容(シナリオ)を考える人も、そこに出演をする人も一般の人たちで、中には夫婦や家族でビジネスとして 取り組んでいる人も見られました。 紹介する商品は家電製品であったり、化粧品や知育玩具、食品であったり。 番組では「動画を使ったこれからの新しいビジネスモデル」として紹介されていました。 広告活動や販売促進における動画の活用は、既に海外においては積極的に取り組まれています。 現在、YouTubeのユニークユーザーは月に約10億人、毎月の動画視聴時間は約60億時間(参考書籍:YouTubeをビジネスに使う本 著者:熊坂仁美)。 また、動画に関する市場規模は2013年約4000億、2016年にはその額は倍になると予測されています。 商品を購入する際に私たちは誰の声に影響を受けるのか? この内容を考える前に、まずは実際に商品を手にする店頭・売り場での出来事を見てみます。     百貨店の地下食品売り場でのこと。 2014年のバレンタイン商戦の最中、東武百貨店(池袋店)では次のような企画が行われていました。 「勝手に国民食!総選挙開催中!! プリン党 VS どら焼き党」展開期間は2014年1月9日から1月22日まで。百貨店のテナントが日替わりでエントリーをした商品の試食販売を行い、買い物客に投票をしてもらい(ネットと売り場のどちら でも投票が出来ます)、選ばれた党の結果発表をする仕組みでした。 スイーツ部門の他に、惣菜部門でも「唐揚げ党 VS ポテトサラダ党」として同時に展開。 「あれこれ食べ比べて、あなたのお気に入りに清き一票を!!」 この企画における商品を薦める声は、「買い物に来られた(または、ネットでこの企画を知った)お客様の声」になります。     スーパーマーケットの食品売場でのこと。 スーパーマーケット/東急ストアの食品売り場で買い物をしていた時に、壁に吊るされた大型のハンガーPOPが目に入りました。 ハンガーの上部に付いたパネルには、「店長が選びました!うちのごはんおすすめランキング」とあり、キッコーマンの「うちのごはん」シリーズの商品が、ランキング1位から3位として表示されていました。 1位:白菜のうま煮 2位:すき焼き肉豆腐 3位:もやしのにんにく醤油炒め  さらに注目商品として、大根のそぼろあんが紹介されていました。 テレビでは「ソチオリンピック」が連日放送されていた時期で、ランキングの表示や表彰台をイメージしたPOPが売り場でのアイキャッチとして効果を上げていました。 ランキングの表示は売り場の企画として珍しいものではありませんが、オリンピックの開催時期や、「店長が選びました!」と言う文字が目を引きました。 この企画はメーカー(キッコーマン)が小売業(店舗)に提供した販促資材によるものですが、誰のお薦めかと言う視点では、文字通り「店長によるお薦め」になっています。     大型スーパーマーケットの酒売場でのこと。 ビールの6缶パックを買おうと酒売場に立ち寄ると、エンドの横には人の形(フォルム)にカットアウトされたスクリーンを使用したスタンド型什器が置かれていました。 効果音としてビールを注ぐ音やテレビCMで使用しているBGMが流れて、スクリーンに映し出されるマネキン(ビールを勧める女性のイラスト)の動きを見ては、物珍しそうに足を止める買い物客の姿が見られました。 その場で何となく違和感を覚えたのは、奥行きのないカットアウトされたスクリーンに映し出される映像から、普段の売り場の風景にはない〈ズレ〉のようなものを感じました。 ここでは、メーカーの商品が「バーチャルなマネキンによってお薦め」されています。 こうしてリアル店舗の売り場で買い物をしていると、「買い物をしている同じ立場の買い物客」であったり「お店の店長」「メーカーのマネキン(販売員)の代わりにバーチャルなマネキン」が商品を薦めたりと色々な声(レコメンド)や情報を聞くことになります。 これらは、売り場で買い物をするお客さん<ショッパー>への最後の一押しに影響を与えるために工夫しながら展開されています。 買い物客の多くが「献立メニュー」をお店に来てから決めると言われる中では、このアプローチは大切なものです。     店舗の来客数が減っている現在、これからの取り組みに向けて。 オーバーストア(GMSの小型化、コンビニ型スーパー等の新しい業態の出現も含めて)、少子高齢化、アマゾンや楽天と言ったオンラインリテールの躍進等からリアルなお店への集客が減っていることは、店舗を持つ多くの企業の悩みです。 前述の、店舗に来られた買い物客へ対するアプローチはもちろんのこと、これからは「如何に自分のお店への来店客数・利用頻度を高めるか?」は大きな課題になります。 こうした対応に、米国の流通小売業(特にウォルマートをはじめとした“ビッグボックス”と呼ばれる大きな店舗を持つ企業)では現在、積極的な取り組みが見られます。 日本の国土の約25倍の面積を持ち、スマートフォンやタブレットの普及が日本よりも早かった米国では、業種業態を問わず「自店への集客」はマーケティング目標でも重点要素になっています。 以下は、米国の小売業で集客(送客)策に力を入れている代表的な企業です。 ・ウォルマート(スーパーマーケットチェーン) ・ウォルグリーン(ドラッグストアチェーン) ・メイシーズ(百貨店) ・セブンイレブン(コンビニエンスストア)      新しい取り組みとして、販売促進と「動画」のあり方について考える。 小売業のマーケティング目標には、売上げアップのために「客単価」「集客」を如何に高めるかがあります。 前述の米国の小売業における「集客策」の多くに、買い物客のスマートフォンやタブレットへのクーポンや商品やサービスに関する情報の送信と、セブンイレブンが(ニューヨークなどの大都市の店舗で)展開する様に「オンラインリテール(アマゾン)や異業種と一緒になって行う店頭における新しいサービス」が挙げられます。 今後の日本の販売促進やマーケティングの取り組みにおいてはどうか? 冒頭「ユーチューバー」について触れました。スマートフォンなどの端末の普及、動画のシステム技術が向上して来たこと等から、動画の投稿(企画)・視聴(拡散)が高まっています。 新しい媒体として、企業や一般の人も含めて意識されるようになったこの「動画」のあり方について考えてみたいと思います。 現在、「ユーチューバー」によってアップされる多くの動画は「商品の特徴や使い方について、生活者の視点で紹介」されています。 テレビCMや企業の作るプロモーションメディアとの違いは、作り手の感情やリアリティが、より感じられるなど視聴する人との距離が身近なものとして感じられます。 完成度はまだまだと感じながらも、見ていて思わず頷くもの、気持ちがちょっと温まるものなど様々な表現・試行が見られます。     販売促進における「動画」の活用を考える際に、<以下>の点が大切になります。 ・それを見たことで商品を試してみたくなった。 ・それを見たことで商品を買いたくなった。 ・それを見たことで誰かに伝えたくなった。 これらは既にツイッターやFacebookと言ったコミュニティ(SNS)で取り組まれているものです。 (SNSの機能やインセンティブを複合的に上手に使用することによって効果を一層高める期待が出来ます) また、小売業から見た場合は、これらに「お店に行きたくなる効果」(自分のお店の来客数を増やすこと)が求められます。 「それを見たことでお店に買い物に行きたくなる動画」 あなた自身が「動画」を見て、そのお店(スーパーでも、百貨店でも、専門店でも、コンビニエンスストアでも)に行きたくなる気持ちやコトとは、どんなものでしょうか? 以前、このWeb SP講座でも米国のスポーツ専門量販店のDicks Sporting Goodsの事例を紹介しました。 スポーツ用品を取り扱う同店舗では、野球のグローブをお客さんが選ぶ時の気持ちとして「新しいグローブが自分の手に馴染むこと」「自分の子どもが練習や試合にすぐに使いたい」と言ったインサイトを捉えて、動画(YouTube)を使用して「グローブを買い物後に、使いやすいように馴染ませたり、操作性が良いように加工するThe Craft〈職人〉がうちの店にいますよ!」と言った内容を紹介しました。 「お店に買い物に行きたくなる動画」は「お店に行きたくなる理由」を動画にすること。 ソーシャルメディアの評価で言われる「いいね!」を「行くね!」に変える発想やテーマが必要になります。 テレビコマーシャルの縮小版との違いは、この辺りにあります。 YouTubeなどの動画の場合でも、90秒や120秒と言った長さ(尺)は目安として捉えることが良いと思います。 「見てから、お店に行きたくなる動画」「それは誰の声で薦めるか?」これから販売促進や広告を考える人のテーマのひとつになると思います。 最後に、最近見た動画から気持ちが動いたり“ゆらぎ”みたいなものを感じた内容<タイトル>をいくつか挙げてみました。 そこに何かの共通点やポイントがあるかもしれません。     OREO Whisper Fight (米国) お菓子のオレオについて、「クッキーが好きなクッキー派」と「サンドされたクリームが好きなクリーム派」が図書館で沈黙(Whisper)の戦いを描いたCM。 米国のスーパーボール(アメリカンフットボールの全米ナンバーワン決定戦)期間中にオンエアされ話題に。 その後、Youtubeで視聴されています。     クレジットカード セゾンカード(日本) 「頭は使いよう。カードも使いよう。」のキャッチフレーズで、女性が瓦を頭で割る様子を描いたCM。 空手の経験がある女性が、積み上げられた瓦を見事に割る姿や、同カード会社の社員が挑戦する姿などに注目が集まりました。 見ていて意外感を持ったり、スッキリする映像は2013年の「つきぬけ爽快!スプライト」(都心や海辺に置かれた巨大販売機から、水しぶきを飛ばして落ちてくるスプライトのシーン)を思い出します。     HOMES バナナマン(日本) 取扱い物件数No.1のホームズ。マンションでくつろぐバナナマンの二人の日常の何気ないシーンと、そこに流れるBGMがHOMESの世界観を表現していると話題になりました。 住まいから生まれる幸せと「ほっ」とする二人の掛け合いが温かさを感じると言った声がYoutubeの視聴や書き込みによって繋がりました。     17回 また、前回の講座で掲載をしました「この写真は何か?」 少し距離をおいてみるとこんなふうに見えます。 近くに寄って見るとスポーツのギア(グラブやシューズや自転車のペダルなどの用具)が重なっているように見えたのはNIKE SHOPの壁面のオブジェでした。 描かれているのはNIKEの共同創設者のコメントです。       ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。 2010年-2014年国内、海外の主なリテールとメーカーを中心にしたプロモーション(ウェブ、クリエイティブ含め)をまとめ分析。 企業の提供する価値とテーマの創り方を、リアル店舗とデジタルの領域から見つめています。]]>