02
September
2013

WEBで読める! 最新SP講座

良い企画とは何か。課題の掴み方とインサイトと文脈について。

企画のつくり方と提案。 このコンテンツ(コラムタイトル)は、会社のホームページを使用した『最新SP講座』なので、今回はこれをテーマの真ん中に置いてお話しを進めたいと思います。”最新”と言うと少々自信がありませんが…。    マス広告があまり効かない、キャンペーンを行なったけれども売上げに結びつかない、ブランドが長く消費者に愛用されない。こうした多くの課題が日常に溢れる中で、私たち代理店は何を行なうべきか? そこでAEやマーケターやクリエイターは何を行なえば良いか?まずは、この疑問から始めたいと思います。20130828.1   事業会社(メーカー)や小売業に提案する企画書の冒頭に書いてある言葉 「今回のご提案では、売上げアップを目的にします」「ブランドのシェアアップを図ります」こうした言葉が整然と並ぶことが多いように感じます。 そして戦術や展開(手法)が目的になっているケースを散見します。売上げや客数やシェアを上げることについて、もう少し細分化して捉える必要があります。 テレビCMの定量指標(GRP)やソーシャル・メディアのツイート数、アクセス数だけに魅力を感じていた受け手も今はそう多くはありません。課題や目的を曖昧にしておくことは、企画のアウトプットにも大きく影響を与えます。 「課題を小手先で捉えない」そのために、まずは目的(やるべきこと)を正確に掴み、それを行なうことで得られる最大の効果や、短期・中長期で期待できること、また、それを一緒に進めてくれる仲間(企業)を洗い出すことから 始めます。これを現在課題解決のためにワーク・ショップ(スタイル)などで進めていくと、企画の牽引や差別化や新しい取り組みには、意外と「一緒に進めてくれる仲間(企業)や存在」がポイントになったりします。    データを見るなら小さく捉えない、そしてインサイトに最もこだわる 課題の抽出や可能性を探る際、データを細かに追い過ぎないで「ラフ集合」を応用させてみます。 クライアントもプロジェクトを進める時や提案を受ける際に「データ(数値)や裏づけは?」と話すことがあります。データは追いかければ切りが無いものです。属性の中から必要なものを見極めて「縮約」します。 大切なことは、その特徴を際立たせるための「縮約」の際に何を選ぶかと言うことです。ここにマーケターの力(センスと言う言葉の方が近い)を感じます。 そして課題が見えて来たなら、次に<最も影響をもたらすヒト>のインサイトを掴みます。この影響とは、売上げのことを指すのか、何を指すのかはこのコラムの後半に触れたいと思います。  20130902_syuusei2 インサイトとは何か? 皆さんはインサイトの意味は?と聞かれたら何と答えますか? Insight を直訳すると「洞察(力)」「見識」「眼識」などになります。マス広告やマスによるプロモーションではヒトが動き難くなってきたと言われ、2008年から2010年くらいに、マーケティングや開発に従事するヒトたちの間から使われるようになった言葉です。 英米の広告業界では一足早く1990年代後半に広告戦略に「消費者の深層心理」や「潜在的な欲求」に目を向けて表面的な分析だけでなく、時として消費者自身も意識していない欲求や思考や洞察を捉え、これをもとに広告や様々なプロモーションに繋げることを行ないました。自動車、トイレタリー、食品飲料を取り扱うグローバル企業が先駆けでした。 なんだか難しそうですが、インサイトを短い言葉で表現する時に私は、 「買いたい、行きたい、それあるあると頷いてもらうことの気持ちのボタンを押す仕組み」と紹介します。 このインサイトの対象は買い物客(ショッパー)やコンシューマ(消費者)やリテール(小売業)、メーカー(部門)であったり、また経営の領域においても、それぞれの関係や戦略の構築に応用されます。 特にプロモーション領域では、ショッパーを捉えたインサイトは重要で、「ショッパーの気持ちを動かすボタンが何か?」「それをプロモーションにつなげる仕組み(プロポジションやタグライン※)」を明確にすることは、市場の変化や展開による効果を期待させます。    ※タグライン:tag lineとは顧客、つまり世の中に対してその企業やブランドが持つ感情面と機能面のベネフィット(優れた点)をわかりやすく伝えるための表現。またタグラインは具体的で、誰にでもわかる言葉で簡潔に書かれている必要。     以下は、研修や講義の際に参加者に考えてもらうテーマですが、このコラムを読まれている皆さんも試してみてください。 【問】  接着剤のメーカーが、ドラッグチェーンの買い物客のインサイトを捉えたテーマから自社の商品の販売を高めたい。こうした相談があった場合、皆さんはここでの買い物客のインサイトをどう捉えてプロモーションへとつなげますか?    商品に景品を付けるとか、イベントではなくて、インサイト(深層心理や潜在意識)の面から捉えてみてください。         課題が分かり、インサイトを掴んだら繋げてみる マス媒体を取り扱う代理店が「つなげていく」ことに夢中になるのとは異なります。コミュニケーションをつなげることではなくて、「インサイトをつかみ、それを表現した内容」と「ショッパーと接触する場所(タッチポイント)」をどう増やしていくかにこだわります。 単にメディアとしての接触チャネルを増やすのではなくて、どのようにしてうショッパー(買い物をする前であればコンシューマ)を、売場や時に(Eコマースの場合は)ウェブサイトに導くかを考えます。この流れや文脈のことを“コンテキスト“と呼ばれています。私たちの仕事の経験や知識の中では、”ストーリー”や”シナリオ”という言葉の方がしっくりくる気がします。 接着剤のポジションは変えられる? 前述の接着剤のメーカーが、「ドラッグチェーンの買い物客を捉えたインサイトで自社の商品の販売を高める展開」、これを題材にこれまでの話を整理してみます。 まず売上を上げたいとか、商品(接着剤)を扱ってくれる店舗を増やしたいと思った場合に、「今のままの接着剤が売れるだろうか?」「果たして市場は変わるだろうか?」こうしたところからスタートします。では、「接着剤をどういったポジションにすればよいか?」「いっしょに応援をしてくれる企業やヒトはだれに可能性があるか?」など出来るだけ掘り下げて考えます。ここで掘り下げた深度(幅と深さ)が展開を考える際にぐっと活きて来ます。 20130828.4       ショッパーのインサイトは何か。 ドラッグチェーンを利用する買い物客の多くは女性。中学生や高校生、大学生、そしてOLや主婦。シニアも少なくはないですね。ここでは来店のボリュームゾーンや、コミュニティなどの可能性を意識して女子学生(中学から大学生)や若いOLを捉えます。 以下は、ワークショップにて参加をされた皆さんからの声(実際にはマーカーで書いてもらい付箋や模造紙を使って「見える化」します)です。 まずはじめに接着剤の機能・特徴・利用場面などをあげてもらいます。 靴や鞄を修理をしたり、何かをつくったり、非常時用に買っておいたりなどの声がありました。 次に彼女たちがドラッグチェーンに立ち寄ったり、利用したりする時の気持ちについて。 ・ドラッグストアには特に買い物の目的を決めて行く訳ではない。 ・店内は歩いているだけでも楽しい。 ・新しい商品や情報に触れると嬉しい。 ・ドラッグに立ち寄りぶらぶらしていると何となく気分が良くなる。などなど。 これらをリテール(小売業・売り場)内におけるインサイトとして捉えます。    つなげていくために何と言うか?。 接着剤を商品の機能で捉えた場合、彼女たちとの間に距離があります。では、この距離を縮めるためのテーマをつくります。接着剤をどういったポジションにして、何と言うか(広告の世界ではこれをWhat to sayと言い、商品のポジションを変えたり市場を動かすような素晴らしいアイデアをBig Ideaと言います)。 タグライン:接着剤で、スマホも、マスクも、ミラーも、かわいくデコして元気。 タイトルコピー:Every Lovely デコ そして商品パッケージは、以下のように変更し、関連する商品(ラインスートンなど)とセット売りにします。コミュニティは店頭・店内に限らずに、来店誘引に役立つあらゆるタッチポイントとメディアを検討します。 このデザインは(表現のサンプルとして)社内のクリエイターの長田君に作成してもらいました。 これは売り方を変えたことよりも、ショッパーのインサイトを捉えて、接着剤と言う商品を『ショッパーの気持ちを元気にして応援する商品へ』と(ポジショニングを)変えたことが一番のポイントです。 そして、ショッパーインサイトにおける答えや取り組み策は決してひとつではありません。「ワタシ、こんなインサイトとテーマを見つけました!」そんな声があれば聞かせてください。 teisei20130902

インサイトから展開を導く際、売場や売り方に限らずに商品自身(パッケージも含めて)や広告・PR活動も見直します。それがインサイトから得られたものを最大に活かすことの意味です。
         ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。]]>