17
March
2014

WEBで読める! 最新SP講座

生活者視点と視野、視座について。

これからのマーケティングのベースに在るもの。 人の目には何故、「白目」があるのか? そんなことを普段気に掛けることはあまり無いと思います。 チンパンジーやゴリラやオラウータンといった他の霊長類には、人と同じ様な「白目」が有りません。 (それは茶色かったり、黒かったり、緑色だったりします) 「白目」が有るから出来ること、「白目」が無いと困ること。 これらに目を向けるとこの問いの“ヒント”が見つかりそうです。 回答は、今回のテーマ・文面の後半に残しておきます。   視点と視野と視座の違いについて。 私たちはマーケティングの活動において『生活者視点』と言う言葉を使います。 視点とは、「どの様な点でモノを見るか?」つまり「生活者視点は、生活する人の目でモノゴトを見る」と言うことです。 生活者が主婦であれば、主婦の目で。生活者がお年寄りであれば、お年寄りの目で。 例えば、暮らしの中で行われる「催事」(お正月や母の日やクリスマス等)を例に挙げると、次の様なことがあります。 この原稿を書いていた時期が2月の上旬、スーパーマーケットの売り場では「節分」をテーマに展開していました。 売り場に行くと、「今年は東北東を向いて、願い事を思い浮かべながら黙って恵方巻を食べる、そうすると願いが叶う」とPOPなどで紹介されていました。 普段献立のメニューを決めることに悩む主婦やお年寄りの目から見れば、「恵方巻」は買い物の手軽さと日本の文化・行事にも親しめることから、この数年家庭の食卓にも定着して来ました。 また、スーパーマーケットや食品メーカーは、「節分」における生活者の行動へ<視野>を広げることで、豆まきの「豆」や「恵方巻」以外の商品(落花生、いわし、ちらし寿司、茶わん蒸しの他にも、「巻く」や「鬼の持つ棍棒のイメージから長い商品」等をテーマにした菓子やスイーツ等を含めて)を絡めることで売上げを高めようとします。 関連する市場は約274億円にもなるそうです。 さらに、「節分」をテーマに他の企業(スーパーマーケットや食品・飲料メーカー)との差別化(更なる売上げアップ)を図る為に、次の様な点にも取り組みます。 「節分に恵方巻を予約したり、当日買い物をする人は年々増えて来た。 恵方巻の種類も豊富で、サイズや価格についても色々なものから選べる。 でも、夕飯のメニューに恵方巻だけで足りるだろうか?」 お年寄りだけの食事であれば恵方巻(1本やハーフサイズ)でも十分かもしれません。 しかし、子供や複数の家族のいる家庭の立場では、恵方巻だけではモノ足りずに「揚げ物」や「炒め物」と言ったメニューを足す事で丁度良いかもしれません。 この時「誰かの立場で見る」と言ったことを<視座>と言います。 マーケティングの活動において視点とは、「生活者がどの様な点でモノを見るか?」を意識します。 視野とは、「生活者を取り巻く企業(小売業であったり、メーカーの様な事業会社であったり)から、買い物やふだんの生活の行動」を捉えます。企業は、そこに適応する商品やサービスを提供します。 視座とは、「生活者の買い物や行動」を通じて期待や楽しみや、不満や不安に感じる事を生活者の立場で捉えて、企業として新たに何が行なえるか、そして自社の売上げに繋げられるかを考えます。 これらの取り組みの具体策として、『商品開発』や『テーマ訴求』などの様々なプロモーションが展開されます。 商品を売り場で提案するショーカードやアイキャッチが付けられたり、テーマによって集められた商品でコーナーが演出されたりします。情報は、売り場に限らずにオンラインによって常につながった状態にあります。 マーケティング活動における「視点」「視野」「視座」の捉え方は、顧客の様々な行動や経験を整える為の「モノの見方」そのものです。 近年日本ではビッグデータの活用(ビッグデーの扱い方については、この講座でも取り上げます)、顧客分析、ソーシャルメディアの分析等が進む中で、商品やサービスに関するレコメンド(推奨)のあり方として「商品とチャネルとタイミングの最適化」が言われています。 「顧客の経験価値」(カスタマー・エクスペリエンス)について。 コロンビア大学のバーンド・H・シュミット教授は「顧客は商品を購入するだけではなく、商品を購入する経験を得ている。 つまり安く買えると言う経験、新しい商品を知るという経験など、顧客が体験する様々な経験を価値とする」と提唱しています。 これが近年マーケティング活動において重視されている「顧客の経験価値」の背景にある考え方です。 そして、買い物の場がリアル店舗であっても、WEBによるオンライン・リテールの買い物であっても、これらの沢山の経験をつなげていくために必要なことは『ワクワク感』だとも伝えています。 「ちゃんと薦める」を前提にして。 リアル店舗でもオンラインリテールでも、現在、会員カードの登録情報、購買時間や内容、購入品などの履歴から次々にアプローチが行われています。 もし、顧客が「働いていて、ひとり暮らしの女性」である場合は、オンライン・リテールの運営側からは水やお米、缶ビール(缶チューハイやノンアルコール飲料かもしれませんが)のクーポンが配信され、リアル店舗(スーパーマーケット)からはお惣菜やデザートを合わせた買い物で利用出来るクーポンが手渡されるかもしれません。 顧客のデータを基にしてニーズに合った商品を「ちゃんと薦める」ことを追求しています。 「ちゃんと薦める」そして「ちゃんと話す」 メールの配信やダイレクトメールの様に、一方向から送られてくる情報やレコメンドには何か事務的で味気ないものが感じられます。 (レンタルDVDやファーストフードのクーポンの配信の様に瞬間的にお得感を持つモノもありますが) 「ちゃんと薦める」ことが出来たその先に「ちゃんと話す」ことが出来れば、それは顧客の気持ちをグッと引き寄せることが出来ると思います。 それも、デジタルやメールによる活字ではなく、リアルに向き合える場面においてです。   冒頭の“人の目には何故、「白目」があるのか?”この回答について。 チンパンジーやゴリラの写真を見てみると、人と同じ様な「白目」が有りません。 「白目」が無いと困ること。それは話している相手とのコミュニケーションが取り難いと言うこと(相手の目線が分かりません)。 人類の成長の背景には人と人とのコミュニケーションがあり、チンパンジーやゴリラと違う発展や進歩を得ました。 コミュニケーションがあり続ける事で、人は誰かと向き合って考えたり、時々悩んだりつまづいたり、その都度何かを越えて来たと思います。 マーケティング活動における「視点」「視野」「視座」の捉え方をより有益な事につなげていく発想や方法も、顧客の経験価値の向上も、それを高めていくための原動力は「コミュニケーションへのこだわり(本当に伝えようとする意識と行動)」で在ることには変わりはありません。 16回チンパンジー 追記:人の白目については幾つかの説ありますが、コミュニケーションや知能の発達との繋がりが有力で、自分の感情や気持ち伝える上において「必要なもの」が大きな理由の様です。 また、視点・視野・視座を意識しながらプロモーション(広告でもデジタルでも)や売り場などの現場に向き合うと、そこに関わる人とのコミュニケーション(ちゃんと話しをする)の幅が広がったり、課題抽出の力(キチンと捉える力)が圧倒的に強くなります。    この写真は何を表しているのでしょうか? 視点を合わせて、視野を広げて、最後は少し離れて見てください。 答えは次回のウェブSP講座の中で。 (2012年米国サンフランシスコ ショッピングモールにて)  16回写真     ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。 2010年-2014年国内、海外の主なリテールとメーカーを中心にしたプロモーション(ウェブ、クリエイティブ含め)をまとめ分析。 企業の提供する価値とテーマの創り方を、リアル店舗とデジタルの領域から見つめています。]]>