10
October
2013

WEBで読める! 最新SP講座

生活者・買い物客とプロモーションの展開の見方について

見方が分かると、何ができるのか? 科学への取り組みを例える時に『真昼の空に星空を見つけるようなもの』と言うのが有ります。 昼の間はそこに確かにあるけれども、なかなか見つけ出すことが出来ない。そのような主旨の言葉だと思います。 マーケティングや販売促進のことを考えるときに、同じようなことが頭をよぎります。 『マーケティングの課題やチャンスは、生活者や買い物客、売場を見てみつけるもの』 それらを的確に捉えるには、何が重要で、何に気をつける必要があるか? マーケティングの分析手法で4Pや3Cによる考え方があります。 ※4P:製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つのマーケティング・ツールの頭文字 3C:Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの言葉の頭文字 これらは商品開発や広告の立案、お店の出店(リニューアル含む)など、様々なマーケティング活動の際に取り組まれています。 ここでは4Pや3Cと言ったマーケティング活動の捉え方と合わせて「買い物客の視点で捉えること」と「実際の展開や(プロモーションの)仕組みから効果を捉えること」に注目をしたいと思います。   買い物客の視点とは、買い物をする人の気持ちになると言うのが<定説>ですが、合わせて注意をしたい点に「その買い物をする人に最も影響を与える人やコトの存在」があります。 これは、当コラム(第4回目)でもテーマにしました「ショッパーインサイト」の考え方のひとつです。 「なぜ、影響を与える人やコト」に注意する必要があるかと言うと「ショッパー(=実際に商品を買い物をする人)」と「コンシューマ(=その商品を実際に使用する人)」が異なるケースが日常の生活や買い物行動の中には見られます。     ここでちょっと考えてみましょう。 主婦40歳:パートとして仕事をしており共働き、小学5年生と2年生の子どもがいます。ドラッグストアでシャンプーを買うとき、または月末の給料日前にスーパーマーケットでご主人のために缶ビールを買おうとするときに、それぞれどんな選択をするでしょうか? シャンプーはお母さんと子どもの使うものとお父さんの使うものと分けて買い物をするでしょうか?よく「ママシャン」と言われるシャンプーの使い方です。 また、仕事を頑張っているお父さんに月末に買うビールは、プレミアムタイプのビールでしょうか?それとも第3のビールでしょうか? また、そのときに売場や商品まわり(店内の環境)では、どんな訴求コピーや販売のための仕組みが効果を高める上で期待ができるでしょうか?  ここで広告業界の潮流についてお話します。 2012年、日本の総広告費は約5兆2000億円。2011年と比べると103.2%アップしました。 ただこれは、景気の回復が背景にあることではなく、2011年3月11日の東日本大震災の影響によるマイナス分が復調しただけと言われています。人口が減り続け、国内の経済市場が(多くの業種業態においても)以前よりも拡大しないのであれば、当然企業における広告費は削減されます。また、ここ数年ではメディアの多様化・細分化が言われテレビやラジオと言ったマス広告による効果が下がっているとも言われています。 そこで注目されてきたのが、この「買い物客視点」であり、その気持ちを捉えようとする「ショッパーインサイト」への取り組みです。 また、こうした見方と合わせて重視したいことに「実際に売場(ウェブサイトも含めて)などで展開されたプロモーションの内容から、その狙いや戦略について知る」ことがあります。 そこで、この<実際に展開されたプロモーション>から分かることについて触れてみることにします。      つけパンひたパン (クノール カップスープ) クノールカップスープが2010年から商品の再活性化・購買喚起を目的に行ったプロモーションを取り上げてみましょう。インスタントスープとしてロングセラーの同商品の課題「ユーザーとの絆をいかに強くするか? どのようにして生活シーンの中に確固としたポジションを築いていくか?」において、取り組み効果を上げた事例です。ポイントは、朝食をオケージョン(朝の食事シーンをチャンス)にして焦点を当てて、忙しい朝にパンにスープをつける習慣でパンを食べやすく、また、「つけパン派とひたパン派、あなたはどっち派」としてメディアを使って話題をつくり、購買の喚起に繋げた点にありました。    商品自体は、長年愛用されていたモノを変えることなく、「パンをスープにつけて食べること」のベネフィット(忙しい朝だけに、そうした食べ方は“あるある”と感じる想い)や、メディアから得た情報「つける」「ひたす」など食べ方について“自分ごと化”して行動に繋げた点が効果を押し上げたと思います。「あなたはどっち派」として、それぞれにタレントを起用したことで、メディアや店頭での展開を目にした方も多いのではないかと思います。

朝食
ロングセラーである商品自体を変えないで、 市場の中で大きく売上を伸ばしたクノールカップスープ
これらを、ただ展開の事例としてそのまま捉えるのではなく、大切なことは 「誰に対して最も影響を与えた企画か?」 「その展開から、何を生み出したのか?」 これらを整理して、自分の引き出し(アタマの中や、パソコンの画面・ノートファイルなど)にしまっておいて、課題に向き合う際(“ここぞ”と言う時に)に、すばやく取り出して提案活動に活かすことです。これは、今回の主題の生活者・買い物客・プロモーションを見て掴んだことから商機をつくる上でのポイントです。 過去の経験や実績(共に効果のあったもの)を、今の課題の中で置き換えて活用をすること、これを英語で表現すると「transfer:トランスファー」と言います。現在、PR業界で活躍をされている(株)TMオフィスの代表取締役:殿村美樹さん(ひこにゃん、さぬきうどん県、佐世保バーガーのPRとして、限られた予算の中で大きな効果を生んだことで話題を作りました)の発想の仕方に「ズラしの法則:固定概念をわざとズラして捉えたり、伝え方を工夫する方法」と言うメソッドがあります。ズラしてみること、置き換えてみること、どちらにも<共通点>があります。   つけパンひたパンの事例であれば、 ■食べ方を変えてみる→商品自体を変えずに、行動を変えてみる。 ■何かを比べてみる→食べ方を比べたり、競争してみることで人の関心を高める。 これを自分の仕事の課題に当てはめたときに、変えたり比べることにより何か効果が期待できるかを考えてみます。 引き出しを沢山持つと言うことは、この期待につながる材料を多く持つことになります。 最後に、買い物客の見方、展開の見方この力を、(スキルとして)早く身につけるにはどうすれば良いか? こうした相談をよく受けます。 それは、見方の先にある『取り組む仕事の最終目標』を具体的に描いて、意識することが大きな意味を持つ気がします。それが買い物客やプロモーションの展開と言った“目の前の人や事象”から、物事の本質を見る力へとつながって行きます。    第6回目白鹿  これは日本酒の醸造メーカーの白鹿(本社:兵庫県西宮市)のホームページのトップ画面です。 サイトのメニューには、「旬の採り酒」「酒と料理のお献立」「旬の白鹿一覧」などが並びます。 それぞれの画面で、日本の旬とお酒がある生活シーンを情緒を捉えながら描かれています。 企画や展開を考える時に、売場や商品における情緒やゆらぎを大切にする僕らにとっては とても良いヒントになります。一読下さい。検索:旬の白鹿   ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。]]>