28
November
2013

WEBで読める! 最新SP講座

「未来カレンダー」から分かること。

過去と未来に視線を向けてみる 「未来=Future」私は誰かと打ち合わせをする時や、マーケティングやプロモーションに関する話をする時に「未来」と言う言葉をよく使います。 「未来のお店や売場って、どうなっているんだろう?」 「プロモーションやマーケティング活動の未来は、どんなことが出来るようになるのか?」 まだ経験をしていない時間、未来のことについては誰も分かりません。 以前、広告代理店で営業部長をしていた方が「広告代理店の営業のスキル」について話しをしていた内容を想い出しました。 「私たちは未来に起こることは分からない。 だからクライアントと向き合う際に、現在と少し前の出来事をきちんと捉えておくことが大事なんだ」少し前の出来事とは<直近のニュース>であり、合わせてクライアントとの仕事の関係の中で<押さえておくべき事実>のこと。 未来のことが少しでもつかめれば、代理店の仕事はマーケティングでもプランニングでも随分と助かるし、沢山 のチャンスや商機を生むきっかけにもなります。 そんな「未来」をテーマにした仕事に取り組んでいる人が当社にいます。社会、経済、スポーツ、文化など、先々の予定を時系列の一覧でまとめた社内向け資料「未来カレンダー」を作成している東日本マーケティング統括マーケティング情報サポートグループの酒井伸子さんです。今回は「未来カレンダー」について彼女と話した内容から紹介します。 以下、酒井さんによる、「未来カレンダー」についての話です。 ******************************************************************************* 生活の変化や人の価値観を捉えるひとつの<指標>として未来の事が挙げられます。 未来がどのような方向に進むかによって、人の生活や価値の考え方は大きく異なると感じています。 私たちの会社の特徴として、流通小売業や事業会社(メーカー)のマーケティング活動に多く取り組む中、生活者の行動や買い物の変化を捉えることはとても大切なことです。 「未来カレンダー」はタイトル通り「未来に起こるであろう世の中の事」が、クライアントの事業や商品、サービス、店舗、施設において、どのような機会や可能性を生むかと言った視点と、そのためにAE(営業職)や、プランナーや、マーケッターが何を考えて、どう行動するのかの基点としての両面を意識しています。 この仕事を始めたきっかけは、当社が作成している「生活行動カレンダー」(※1)の次年度の暦や社会行事を整理していたことがはじまりでした。未来に起こるかもしれない変化や価値感について、もう少し中期的にも捉えようと・・・、今では2年先の様子(行事や法令など)も含めて取り組んでいます。 では、「未来カレンダー」からどんなことが活かせるか? 「未来カレンダー」は未来の事に目を向けるだけではなくて、同時に過去の出来事を合わせて見る事でクライアントへの提案やプランニングの際に、確かな根拠を持つ内容へとブラッシュアップする役割も持ちます。 例えば、「2014年4月1日の消費増税引き上げ 消費税率5%→8%へ」について取り上げてみます。 既にニュースで多くの話題や注目を集めているように、増税に関する買い物や生活への変化が予想されます。 私たちは、これらを考える際に過去の出来事である「1997年4月1日の消費増税前後の動向」にも目を向けます。 当時、消費増税が行なわれる直前の販売動向では、どのような商品が動いたか? そして、増税を商機と捉える施策や実際の買い物傾向を知ることは大切です。 ●耐久消費財:住宅、自動車、家電(エアコン、冷蔵庫、パソコン、大型テレビなど)           大型家具(婚礼用高級箪笥、セットものの収納家具、ソファなど) ●嗜好品:呉服、宝飾品、美術品、高級ブランド品 ●実用品:衣料品(春物衣料、背広、靴など) ●消耗品:肌着、パンティストッキング、食品、栄養剤、焼酎、タバコ、消耗雑貨(トイレットペーパー、紙おむつ)   4月1日の増税後に流通小売業が展開した施策について ●初夏物衣料品の前倒し販売<百貨店> ●お買い得品の増強(割引価格の商品の拡大、増量)<GMS、SM> ●税込みで切りのよい価格設定商品の販売<百貨店> ●割引特典のあるクレジットカードの導入<GMS、SM>   また、消費増税後の生活者の買い物の傾向として ●高額商品などの消費は反動から買い物意欲が減退 ●レジャーは1997年4月直後のゴールデンウィークは不調、夏休みは回復基調 ●関東地方は7月上旬に記録的な猛暑から季節商材(夏物衣料、エアコン、扇風機等の家電)は一時的好影響 2014年4月の消費増税に向けた現在(2013年10月時点)の動きとしては、百貨店ではアクセサリーをはじめとした高額商品の販売が好調で、住宅や自動車などの駆け込み需要も現れているようです。増税時期が4月と言うことから、新生活用品などの購入時期の前倒しなども予想されます。増税後は、電子マネーを使用した買い物でポイントを貯めて、買い物に上手に利用するなどの変化も考えられます。   過去の実績を踏まえ企業がこれから行なう事として、 ●商品やサービスの価格の見直し ●商品の価値、商品自体の見直し ●価格をはじめ表記の見直し ●売場やサイトにおける販売の仕方(仕掛け) ●広告をはじめコミュニティの仕方(仕掛け) ●販売に携わる人の有り方の見直し ●販売や購入価格に限らない様々な取組み がされると思います。 今回「消費増税」をひとつの例として取り上げましたが、未来は過去ともつながっており、過去を振り返ることで、まだ見えない未来において生活者の行動がどのように変化したり、何を望むのかが捉えやすくなります。 それらをつかむことが、よりリアリティのある提案であったり、質の高いプレゼンテーションや企画を生み出すと考えています。 ******************************************************************************* 「未来カレンダー」は、未来にだけ目を向けるのでなくて、過去の経験や実績にも目を向ける、そうした言葉が とても印象的でした。 「未来」と言う言葉には不思議な力があります。まだ経験していない時間に対する「希望」や「願い」であったり。 仕事の中で未来を捉えれば、商機やビジネス・チャンスと言ったマーケティングの目標や課題の解決につなげようとします。 でもそこには、まだ手段も方法も確立されていない沢山の不安や不確かなものが同時にあります。 昔の方位磁石に例えると未来に目を向けた視点は、『本針』(針の示す方向に緑が記してある針)のようであり、過去に目を向けた視点は、『逆針』(さかばり:十二支目盛りが普通の磁石とは逆回りにつけてあり、目盛りの盤の北・南をそれぞれ土台となる船首・船尾に合わせて設置すると磁針の指す方向が、進行方向として直読できる)のようなものかもしれません。 「未来カレンダー」の役割は、この『本針』『逆針』と言った両方の針を持ちながら、未来に向かって新しいことに チャレンジにすることや舵をきる上で大切な役割や力を持っています。 ※1生活行動カレンダー:40年に渡り「生活者」を見続け、研究してきた当社のノウハウを活かしたマーケティングブックです。常に変化し続ける生活者の暮らしや潮流など、生活者に関するあらゆる情報をまとめており、様々なデータを見ることが出来ます。  

酒井伸子さん
未来カレンダー」に取り組む酒井伸子さん
          ichikawa著者:市川 武也 インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。]]>