15
December
2015

WEBで読める! 最新SP講座

オムニチャネルとIoT(Internet of Things)について。

■オムニチャネル時代の幕開け。

セブン&アイ・ホールディングスが2015年11月1日から、リアルとネットを融合させたECサービス
「omni7」(オムニセブン)を開始することを発表しました。

「omni7」は、コンビニエンスストア、百貨店、スーパーマーケット、専門店などの業態に関係なく、
店頭での買い物や携帯端末、パソコンを使って、いつでもどこでもあらゆる商品・サービスを利用できる
スタイルを目指すと言うものです。

「omni7」サイトを中核にして、様々なオリジナル商品の開発・提供が進められています。

2018年度までに「omni7」内の約600万品目の品揃えを、セブン-イレブン店頭で
留置きできるサービスをセブン-イレブン全店(全国に約18,000店舗展開)に拡大するとともに、
店舗での返品・返金サービス、お急ぎ受取りサービス(関東1都6県、約7,000店)、
365日配送(関東1都6県、約7,000店)、「接客端末」による御用聞き(当初6,000店、順次拡大)などを
行うとのことです。

「omni7」に参加するのは、セブン‐イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、そごう・西武、ロフト、
赤ちゃん本舗、セブンネットショッピング、セブン&アイ・フードシステムズ、
セブンカルチャーネットワークの計8社。

テレビCMや広告活動(店舗内や電車内など)、ニュース報道でも「買い物がこれからどの様に変わるのか?」
「暮らしの中で、何が便利になるのか?」と言った内容が取り上げられています。

現在、日本の流通小売業の市場規模は約141兆円、そしてネットを利用した買い物市場/Eコマースの規模は
約9兆円。
まだまだリアル店舗全体の売上に比べれば、Eコーマスの規模は小さいものです。

しかし、2017年にはインターネットによって喚起される消費規模は、野村総合研究所によると
約50兆円と言われています。

これらを牽引する背景には

①日本の超高齢化
②女性の社会進出(買い物行動の変化)
③単身者の増加

などがあります。

今後、リアル店舗(オフライン)の陣取りは限界に近づく中、セブン&アイ・ホールディングスによる
「omni7」の展開は、これからの時代の“顧客戦略”のひとつと言えます。

では、こうした時代の中、他の企業の動きや取り組みはどうでしょうか?

良品計画、マツモトキヨシ、パルコ、東急百貨店など、いずれも買い物客の行動を分析して
「パーソナライゼーション」(買い物客ひとりひとりへの最適化)や社内外の体制整備を行いながら、
独自の「オムニチャネル化」を進めています。

また、「オムニチャネル」の実現に必要な3つの要素(在庫情報の一元化、顧客情報の一元化、
情報提供のリアルタイム化)に加えて、個々のユーザーへの「買い物環境の提供のあり方」が
ポイントになります。

最近注目されている「マーケティング・オートメーション」は、この部分に注目して購買予測に
必要なデータを取得・分析し、最適な広告、WEB、メールの配信を行うためのソフトウェアです。

買い物環境を捉える際に、コンシューマやショッパーのインサイトの読み取りと
コミュニケーション(コンテキスト)の展開も重要になります。

さらに買い物客との接点において、これから行える新しい取り組みはないでしょうか?

そこで、日本でも昨年よりマーケティングのキーワードとして取り挙げられている
「IoT」(アイ・オーティ)について考えてみたいと思います。

 

■オムニチャネルとIoT
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、接続が可能なあらゆるモノを
インターネットにつなげるという意味で、日本でも徐々にその言葉が浸透して来ています。

しかし、IoTを活かして「新たなビジネスモデル」として利益を生み出している企業はまだ見られません。

モノから集めた様々なデータの可視化や分析を始めている企業は現在少しづつ増えていますが、
企業の実益として効果を上げるには、もう少し時間を要しそうです。

このIoTは「オムニチャネル」が今以上に実用・活用されていく時代において、
大きな役割を果たす可能性を持ちます。

例えば、既に展開されている製品で累計販売台数200万台を突破した家庭用コーヒーマシン
「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」(以下バリスタ)は、職場やコミュニティでも
活用出来る様にと、バリスタに装着された位置を認識するBeacon端末と、バリスタユーザー向け
スマートフォンアプリ「ネスカフェアプリ」が連携して、コンテンツのプッシュ配信機能や
SNS機能を駆使した様々なサービスを提供しています。

ユーザーがバリスタに近づいてコーヒーを淹れると、その音を感知した「ネスカフェ アプリ」が、
お得なポイント情報や、占い・ルーレットと言ったエンターテインメント系コンテンツ、天気・
マシンのお手入れ状況といった便利な情報を「ネスカフェアプリ」へと発信。
こうした内容はいずれ「オムニチャネル」への活用、シフトが出来ると思われます。

 

■海外では小売業がIoTを体験するオープンハウスを企画。
アメリカのスーパーマーケット『ターゲット』(Target:アメリカの小売業で売上第5位のチェーンストア)
が今年の7月にサンフランシスコのミッション・ストリートにIoTの体験型ショールームとして
「Target  open house」を開設しました。

約100坪のスペースは2つのスペースで構成されており、ひとつはモデルルームとしてリビングルームや
キッチン、ベッドルーム、キッズルームを再現しています。
それぞれの部屋はアクリルで区分けされ、IoTで行えることや、その効果を壁面に文字や動画などで
紹介しています。

もうひとつのスペースは、35のIoTプロダクトやスマート家電を並べたショールームになっており、
テーブルに設置されたタッチスクリーンやスタッフによるデモンストレーションによって、
IoTを直に体験することが出来ます。

その様子は、スマートフォンにタッチすると、テレビや調理家電が自分仕様に設定され起動したり、
NEST(ネスト)と言うデバイスの中には人工知能が組み込まれていて、人が家に帰る時間帯を学習して
室温を調整をしてくれるなどの機能を体験することが出来ます。

近未来的な空間の中でのこうした体験は、家電量販店、自動車のショールームの未来版を思わせます。
IoTの啓蒙やPRを目的にしたこのショールームを、米国ではスーパーマーケットが
企画・展開していることでも話題を集めています。

また、2015年11月からは世界No.1の売上を誇るウォルマートが「ワイヤレス型の商品メモ端末」
(注文したい商品のバーコードをスキャニングや音声で入力することが出来る)として使える
デバイスの同期をはじめました。

日本ではIoTについて理解をしている人や、その価値を実感している人は、まだそうは多くはありません。
IoTが身近なものになると、暮らしの中では様々な変化が見られるでしょう。

「冷蔵庫の中身やライスストッカー(米びつ)の残りの量をモノが判断し、お奨めのメニューを
提案したり、自動的にお米をお店に注文をしたり」「映画や番組を見た時の、おもしろいとか
楽しいとか悲しいと言った感情をモノが記憶して、お奨めの作品を紹介したり」
従来のマーケティング・データによる分析、それによる商品の奨め方や仕組みは
今迄とは違う対応が可能になるでしょう。

今後の買い物行動やビジネスの変化を予感させる「オムニチャネル化」に、
海外で小売業が紹介する「IoTによる買い物環境の改革や便利な買い物に役立てる仕組み」
を照らして捉えてみると、(オムニチャネル、IoT)両者の果たす役割や期待する効果が
一層わかり易くなります。

オムニチャネルもIoTも、高齢化社会や仕事を持つ女性や単身での暮らしの快適さを
追求する人にとって、そして生活者すべてにとって、より便利さやWOW(驚き、感動)が
感じられる「新しいサービス&プロモーション」へと昇華や、展開ができればと思います。

 

IOT図2 (2)

IoTの体験型ショールームとしてサンフランシスコで話題を呼ぶopen house。
企画・運営をするターゲットは米国で売上5位のスーパーマーケット。

 

IOT図2 (1)

展示スペースはリビング、ベッドルームのほかに、アップルストアを思わせる様な
デバイスやスマート家電の陳列がされています。
100ドルのペットトラッカー(GPS機能の付いた首輪型ウェアラブル)や
200ドルのバスケットボール(ドリブルの回数やシュート速度の計測機能付き)
など注目を集めています。

 

ichikawa著者:市川 武也
インサイト、デジタルの活用、お店や商品のブランディングなど課題や機会の多い中で、次世代のマーケティングやプロモーションに取り組む人材の育成と、プランニングのメソッド開発と普及に従事。
2010年-2015年国内、海外の主なリテールとメーカーを中心にしたプロモーション(ウェブ、クリエイティブ含め)をまとめ分析。
企業の提供する価値とテーマの創り方を、リアル店舗とデジタルの領域から見つめています。